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  1. 東京都議会 1999-03-17
    1999-03-17 平成9年度_公営企業会計決算特別委員会(第12号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時七分開議 ◯丸茂委員長 ただいまから平成九年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。  本日は、港湾局及び衛生局関係の順で決算の審査を行います。  これより港湾局関係に入ります。  決算の審査を行います。  平成九年度東京都埋立事業会計決算、平成九年度東京都臨海副都心開発事業会計決算及び平成九年度東京都羽田沖埋立事業会計決算を一括して議題といたします。  本件につきましては、既に説明を聴取しております。  その際、資料要求はいたしませんでしたので、直ちに質疑を行います。  発言を願います。 ◯たぞえ委員 私は、臨海副都心開発について、何点かお伺いしたいと思います。  ことしの予算議会でも、都財政の危機の原因が、八五年ごろから急速に大型公共事業、とりわけ臨海開発幹線道路建設などが推し進められたこと、これが財政悪化の原因であることがいよいよはっきりしてまいりました。とりわけ臨海副都心開発問題は、開発を続ければ続けるほど、都財政を投入することになる。あわせて、企業進出が狂えば狂うほど、その都度、都財政が負担が拡大をするという悪循環が繰り返されている。こういう状況でありますから、私どもは、既に破綻をしたこの開発に、新たな税金投入を行うべきでないということを主張してきました。したがって、臨海に流れ込む税金の蛇口を一たん閉めて、再検討を求めているわけでありますが、改めて、きょうの決算でも、この問題についてお伺いしたいと思います。  まず、九年度決算に見ますと、収入の中で他会計からの借入金がありますけれども、これは、どこから幾ら借り入れたのでしょうか。 ◯渡辺開発部長 臨海副都心開発事業会計の他会計からの借入金でございますけれども、平成九年度は、埋立事業会計から三百億円借り入れております。 ◯たぞえ委員 この臨海副都心事業会計の借入金は、九年度だけなんですか。 ◯渡辺開発部長 平成四年度を除きまして、平成元年度から九年度まで借り入れを実施しております。 ◯たぞえ委員 八年間近い期間、借り入れを続けたわけですが、借入金の総額は一体幾らになっているのでしょうか。 ◯渡辺開発部長 平成九年度までの他会計からの借入金でございますけれども、総額で約三千二十億円でございます。  内訳につきましては、埋立事業会計から約二千七百八十億円、羽田沖埋立事業会計から二百四十億円ということになっております。 ◯たぞえ委員 東京都はこの事業を着実に推進していく、こういって、今答弁ありましたように、毎年、借入金を充てている、そのこと自体が借金を背負っているわけでありますから、事業が、素直に見ても大変な状況であるのではないかということを指摘しておきたいと思います。  これまでの委員会でも、臨海副都心への来訪者、これが二千五百万人もいて、大変にぎわっている、こういうふうに局は答弁をしておりますけれども、今月の二十日から大観覧車が動き出すそうですが、臨海への人出がふえて、その結果、事業会計自体の収入はふえているのでしょうか。
    ◯渡辺開発部長 臨海副都心には大変多くの方が来られておりまして、臨海副都心がにぎわうということは、臨海副都心の魅力があるということ、また、豊かな発展性がある地域として、多くの都民から受け入れられているのではないかというぐあいに私どもは考えております。このようなまちのにぎわいと発展の可能性がございますので、第二次公募あるいは病院の公募を行いまして、事業者を決定したところでございます。  また、国際研究交流大学村の進出が決定するなど、臨海副都心そのものの評価が進出意欲の向上につながりまして、これが結果的には、土地を処分したり、あるいは運用収入の確保に大いに貢献していくというぐあいに考えております。  このほか、東京都の第三セクターでございます新交通「ゆりかもめ」あるいは臨海高速鉄道の乗客が増加いたしまして、運賃収入がふえてくるという点におきましても貢献をしているというぐあいに考えております。 ◯たぞえ委員 今、答弁で、多くの都民から受け入れられているとか、将来、国際研究交流大学村が進出してくるとか、「ゆりかもめ」にたくさん乗っているとかおっしゃったけれども、問題は、臨海開発そのものを進める事業収入がどうなのか。電車に乗った方が切符を買うお金で、とても臨海開発はできないはずですよ。  もう一度、答えてください。収入はふえているんですか、どうなんですか。 ◯渡辺開発部長 国際研究交流大学村でございますけれども、政府の第三次補正によりまして既に予算が確定しておりますが、現在、財産価格審議会で評定を行っておりますので、正確な数字はいえませんけれども、三百億円以上の収入が見込める。あるいは、これから病院が進出してまいりますと、ここにつきましても土地の処分収益が入ってくるということで、確実に収益は期待できるものと考えております。 ◯たぞえ委員 今のお話は、これから見込めるという話でしょう。二千五百万人の方がこのお台場公園とかに来られても、実際にお金として入ってきているのかどうか、もう一度、お答えください。 ◯渡辺開発部長 まちといいますか、都市づくりにおきまして、人々がたくさん集まってくるというのは都市の本質である。それに比較いたしまして、地方で田園都市に住むというのは、自然にあふれている。こういうふうな特性がございますので、都市としての基本的な評価が得られるということは、土地の処分が順調に進んでいく基本的な要件であろうというぐあいに考えております。  現時点におきましては、確かに、人がふえることによりまして、収入が直ちに、そのこと自身がふえるということはないとは思いますけれども、土地の処分収益という形で増収に寄与していくものと考えております。 ◯たぞえ委員 これは局の見解もおありでしょうが、都民が臨海副都心の場所を訪れれば、それが即これまでの赤字を埋めるという、そういう連鎖効果は、決して一〇〇%あり得ないということを改めて……。  次にお伺いしますけれども、臨海高速鉄道や「ゆりかもめ」などの延伸部などの鉄道、それから、環状二号線や晴海、月島、豊洲、有明につなぐ補助三一四号、三一五号、放射三四号、臨海道路、こういった幹線道路、こういった広域交通基盤は、当初の計画に比べて、見直し計画ではどうおくれているのでしょうか。 ◯小池臨海部開発調整担当部長 従来の計画でございました臨海副都心開発事業計画におきましては、広域交通基盤は、平成十二年度までに整備する計画となっておりました。しかしながら、その後、社会経済状況の大幅な変化を踏まえまして、臨海副都心開発計画全体を見直すことになったわけでございますが、その際、広域交通基盤整備スケジュールにつきましても見直すことといたしました。厳しい財政状況を踏まえまして、都民負担を極力抑制することを基本的な考え方といたしまして、路線別、区間ごとに優先順位をつけ、段階的に整備することといたしました。  その結果、新たに策定いたしました臨海副都心まちづくり推進計画におきましては、東京港臨海道路の一期事業区間を平成十三年度を目途に整備する、また、晴海通りの延伸、それから新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸、これに必要な環状二号線と補助三一五号線の一部につきましては、平成十七年度を目途に整備する、そのほかの環状二号線などにつきましては、平成二十七年度を目途に整備することといたしました。  また、ただいまございましたような臨海高速鉄道につきましては、工事の進捗状況を踏まえて工程を見直し、平成十二年度末に天王洲暫定開業、平成十四年に大崎までの延伸を行うことといたしました。 ◯たぞえ委員 東京都は、九七年にこの見直し計画を策定いたしましたが、それまでは、広域交通基盤整備は、ほとんど来年度の平成十二年までに完成する予定でいたわけです。しかし、それを見直しても、さらに五年から十五年も延ばすことになった。つまり、収入が見込めなくなったから、基盤整備でも延ばさざるを得ない、このように私は指摘をしておきたいと思います。  そればかりか、土地の問題でも、当初、平成四年三月の試算では一平米二百五十万円でありましたが、バブル経済の崩壊によって地価が大幅に下落したことから、当初見込んでいた地代収入の大幅な下方修正を余儀なくされて、この九年度の決算の時点では、一平米百十四万円に落ち込むという事態です。そのために、当初、今後三十年間で七兆円と見込んでいた地代収入が、これが一兆四千億円に、実に五兆円も目減りするという事態がずっと続いているわけですね。このことは、やはり開発そのものがうまくいっていないということを示している客観的な事実じゃないでしょうか。今後、開発のための借り入れ予定の二千六百億円は、どの会計から持ち込むのか、それは確実に確保できるのでしょうか。 ◯渡辺開発部長 平成九年二月の長期収支試算におきまして、平成二十一年度以降の他会計の借入金を想定しておるわけでございますけれども、これは、あくまでも試算上、想定しているということでございます。まだ先のことでございますので、具体的な借り入れの必要が生じたときに、そのときの状況に応じて適切に対応していきたいというぐあいに考えております。 ◯たぞえ委員 いつになるかわからない、そのときの状況で対応しなきゃいけないと。何か、余り希望がないようなお話であります。  この二千六百億円の借り入れをするために、もう埋立会計は底をついているんですよ。結局、都有地を切り売りしなければ入ってこない。こういうふうに考えますと、都の財政難を理由に都民の福祉や教育の方にはメスを入れるけれども、こっちの方は全く温存されている。こういう姿勢だから、マスコミからも、雪だるま借金、収支均等無限に遠のく、このままでは臨海開発への税金の出血は続く、こう指摘されているのも、極めて私は的を得た報道ではないかというふうに考えます。(「『赤旗』新聞だな」と呼ぶ者あり)これは毎日新聞ですよ。今度の都知事選挙でも、際限のない税金投入で赤字を膨らませるのか、それとも、東京都の財政を立て直すために、これにメスを入れて根本的な見直しを図るのか、このことが問われる、既にもう問われていると思います。  我が党は、改めてこの臨海副都心について申し上げれば、幹線道路など都市施設の整備は最小限にとどめる、病院や公的医療や、また中小企業などの産業の振興、野外レクリエーション、スポーツ、憩いの場、そういう都民要望の方向に転換することは、今ならば遅くないということを主張しておきます。  この九年度の決算でも、他会計からの借り入れ問題や、また、都市計画が思うようにいかない、こういう臨海開発は、いっそここで再検討を改めてするべきだということを申し上げて、私からの質問を終わります。 ◯原委員 私の方からも、何点か質問させていただきたいと思います。  まず、一月二十七日、当委員会で、平成九年度の臨海副都心開発事業会計としての住宅用地として二件の長期貸付を行うという説明がございました。そこで、その内容と具体的なことについてお伺いしたいと思います。  まず貸し付けの相手方、また住宅の戸数、そして、何年ごろにこの竣工を考えているのか、この貸付先二件についてお答えいただきたいと思います。 ◯渡辺開発部長 二件の貸し付けでございますが、臨海副都心の台場I街区の住宅用地でございます。貸し付けの相手方でございますけれども、住宅局及び住宅・都市整備公団でございまして、住宅局の分が三十二戸、住宅・都市整備公団分が三百六十九戸でございます。竣工につきましては、住宅局が平成十二年の三月、住宅・都市整備公団が平成十二年の十二月の予定となっております。  このほかに、台場のI街区におきましては、平成八年度に住宅供給公社と契約して、三百十戸の住宅を建設しておる途中でございます。 ◯原委員 そうしますと、この住宅が完成することによって、入居済みの人も合わせると、もう二千戸以上の住宅、そして、人口としては五千五百人規模の体制が整備されるわけであります。さらに、最近発表の就業人口によりましても、二万二千を超えるという、こういう地域でございます。臨海副都心のまちづくりというのが着実に進んでいるのではないかという感がいたします。  しかし、このまちのつくりと同時に、医療機関の整備というのが非常におくれているのではないかなというふうに実感をいたします。この点は、我が党も何度か指摘をし、総合病院の建設をということを提案させていただきましたけれども、当然、多くの就業人口、そして居住者がこれからもますますふえてくるわけでありますが、この東京の医療体制、さらには災害対策の観点からも重要な点ではないかと思います。  こんな中で、きょう三月十七日、午前中に開催されましたレインボータウンまちづくり推進会議で、臨海副都心に、いよいよ有明の丘に病院誘致を決定した、こういう発表がございました。それによって、この病院誘致が決まったわけでありますけれども、防災計画の中で具体的にどのような内容で計画が盛り込まれているのか、また、病院についてはどのように記載をされているのか、この点についてお伺いしたいと思います。 ◯渡辺開発部長 臨海副都心防災計画でございますが、平成十年の三月に策定をされまして、臨海副都心を防災モデル都市とするため、臨海副都心開発を進めるに当たって考慮すべき防災体制の整備、災害応急対策、広域的な防災支援のまちづくりなど、防災対策の基本的な事項を定めたものでございます。  このうち病院につきましては、有明の丘防災拠点の中の二ヘクタール程度をその用地として定めてございまして、災害時後方医療施設として機能いたします総合病院として、早期に開発を図っていこうということになっております。 ◯原委員 公募要項によれば、今、お答えいただいた有明の丘防災拠点二ヘクタール、この用地に病床数で約七百床の病院を建設するというふうになっておりますが、この医療圏の病床数でございますけれども、現在、必要病床数というのはどれぐらいになっておるのか、これについてお願いします。 ◯渡辺開発部長 東京都の衛生局が昨年十二月に改定いたしました東京都保健医療計画におきましては、江東区、墨田区、江戸川区で構成しております区東部保健医療圏全体で七千四百五十八床が必要の病床数ということでございます。  これに対しまして現在の既存の病床数でございますが、昨年の十一月一日現在で六千六百三十三床ということでございますので、八百二十五床の不足ということでございます。 ◯原委員 そうすると、この総合病院が建設されると、若干病床数も解消される、こういうことであるかと思います。そういう意味から、まちづくりの拠点であるこの地域に、より医療体制の強化というものも大事ではないかというふうに考えます。  そこで、十月に公募要項を発表したということでございますけれども、本日まで約五カ月間、事業者を決定するまでに時間がかかりました。公募から事業者決定までの経緯の中で、どこの病院が公募に応募されたのか、その経緯についてお伺いしたいと思います。 ◯渡辺開発部長 今回の公募でございますけれども、昨年十月に公募要項を発表して、応募受け付けを行ったところでございます。応募がございましたのは三件、三事業者でございますが、このうち計画書類の提出があったのは二件、二事業者でございまして、一事業者は辞退でございます。なお、応募事業者の名前につきましては、秘匿を条件に公募を受け付けておりますので、答弁は差し控えさせていただきます。 ◯原委員 きょう決まったのは、どこに決まったんですか。(発言する者あり)知っているのに聞くんじゃないといわれましたけれども、一応お答えいただきたいと思います。 ◯渡辺開発部長 本日、進出事業の予定者として決定いたしましたのは、財団法人癌研究会でございます。 ◯原委員 たまたまこの癌研究会、私の自宅の一分先のところにありまして、困ったなと、こういうような思いがしておりまして、今後、これがどういうふうになるのか、若干気がかりであります。そのことについて港湾局に聞いてもしようがないから、差し控えますけれども、この審査はどのような基準に基づいて行ってきたのか、お伺いしたいと思います。 ◯渡辺開発部長 公募に当たりましては、事業計画書財務諸表等の提出を求めたわけでございますが、審査につきましては、大きく事業主体事業計画、建築計画、環境交通への配慮の四項目としております。このうち事業計画につきましては、臨海副都心開発への貢献、開設する病院の規模、機能、東京都が要請しております機能への対応、それから事業実施に当たっての確実性等としてございます。これらの基準に基づきまして、総合的に判断したということでございます。 ◯原委員 総合的といいましても、先ほどお伺いしましたけれども、応募者が三件で、実質的に計画書類が提出されたのが二件、そのうち一件が辞退と、必然的に決まってしまったのではないかという感がいたします。しかし、決定を見たからには、今いわれました公募基準、審査基準というものをきちっと厳守していただいて、本当にまちの活性化のためにも、また安心して医療機関へのバックアップ体制、また災害時における病院の機能というものをしっかり監督し、また確立をしていただきたいというふうに思います。  そこで、あえてだめ押しで聞くわけではございませんけれども、この癌研究会に決定した要因、今お聞きしましたけれども、この病院にどういう期待感を持っておるのか、最後にお伺いしたいと思います。 ◯渡辺開発部長 先ほどの答弁に若干補足させていただきますけれども、応募したのは三事業者でございます。そのうち一事業者が事業計画を提出せずに辞退ということで、残ったのは二事業者でございまして、二事業者のうち、審査を行いまして、癌研究会事業予定者として決定したということでございます。残り一事業者につきましては、名称につきましては、秘匿を条件としておりますので、これは差し控えさせていただきますということでございます。  そういうことで、二事業者のうち癌研究会を選んだということでございますが、今回、癌研究会の方の開設する病院につきましては、これは事業費、延べ床面積等から施設設備の内容が非常に充実していると。また、医師、看護婦等の医療従事者数が多く、十分な医療体制が期待できる、さらに、災害時の対応が非常に具体的かつ、看護婦さんの宿舎だとか、医師の宿舎等も設けている等々で、設備的な対応あるいは人的な対応についての即時性が期待できるなどの点を考慮いたしまして、すぐれているという判定のもとで、同研究会を事業予定者として決定したものでございます。  そういうような事業者でございますので、これから臨海副都心の方での開設に当たりましては、私どもが期待していた機能である地域医療を支援する、いわゆる総合病院としての機能を十分発揮できるであろうと。また、救急医療につきましても、体制が整っているということ、さらには全都的な防災モデル都市でございます臨海副都心内の有明の丘の防災拠点の中で、災害時におけます後方医療施設として十分な役割を果たすことが期待できるのかな、こういうように考えております。 ◯原委員 今のお話にありましたように、この臨海部の青海、有明南・北、そして台場地区等々、四百四十二ヘクタールの中で、就業人口七万人、さらには居住人口四万二千というような、こういうアウトラインが示されております。その中で、現在の医療体制というのは、診療所を中心とした、人口割にすれば、余りにも未熟な医療体制ではないかと思います。その中で、平成十五年を目途にこの有明の丘に建設される病院の実施に当たっては、ぜひ滞りがないように推進をしなければ、かえって多くの困難を招くのではないかというふうに考えられます。医療の問題になりますと、港湾局だけで対応するということではなくて、衛生局の方ともしっかり連携をとりながら、建設の推進、またはどうやったら都民の方が、この居住者の方々、それ以外の方々も、この総合病院を中心とした医療体制を強化することができるのか、こういった連携も今から図っておかなければ、結局計画だけでなかなか実効性が伴わないという、こういう危険性もあるんではないかというふうに思いますので、ぜひ港湾局、そして衛生局ともどもに連携強化の中で病院建設に当たられることを要望して、質問を終わりたいと思います。 ◯丸茂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯丸茂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。  以上で港湾局関係を終わります。      ━━━━━━━━━━ ◯丸茂委員長 これより衛生局関係に入ります。  決算の審査を行います。  平成九年度東京都病院会計決算を議題といたします。  本件につきましては、既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯廣田病院事業部長 去る一月二十七日の本委員会におきましてお求めのございました資料につきまして、ご説明申し上げます。  お手元にお配りしてございます平成九年度公営企業会計決算特別委員会要求資料をごらん願います。  資料は、目次にございますとおり、1の都立病院における看護要員数の推移と、2の都立病院における骨髄移植の実績の二項目でございます。  まず、一ページをお開き願います。1、都立病院おける看護要員数の推移でございます。  平成六年度から十年度までの看護要員数を、常勤、非常勤、パートに分け、各病院ごとに記載してございます。なお、欄外注にございますように、看護要員数は各年度一月一日の現員数でございまして括弧内は病棟に勤務する看護要員数でございます。  次に、二ページをお開き願います。2、都立病院における骨髄移植の実績でございます。  駒込、府中、清瀬小児の三病院におきまして、平成七年度から九年度までに実施いたしました骨髄移植の件数を記載してございます。なお、府中病院につきましては、平成八年度から事業が開始されております。  以上、簡単ですが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ◯丸茂委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯山本(信)委員 何点か伺いたいと思います。  私、きょうの質疑で、地元の広尾病院の病棟改修について伺うことで準備をしていたんですけれども、昨日、医療ミスによって患者さんが亡くなるという事故があったことをテレビの報道で初めて知りまして、本当に驚いております。地元の病院でもありますので、最初にまず、この問題について緊急にお伺いしたいというふうに思います。  最初に、この事故の経過について答えられる範囲で、きちんと答えてください。 ◯廣田病院事業部長 それでは、今お求めのありました広尾病院における死亡事故につきまして、概略をまずご説明申し上げます。  患者さんは、浦安市に在住しております五十八歳の女性の方でございまして、慢性関節リューマチの治療のために、二月八日に広尾病院に入院いたしまして、十日にその手術を受けました。翌十一日、抗生物質の点滴後、看護婦が血液の凝固を防止する薬剤であるヘパリンナトリウム液を注入したところ、その数分後から、胸の痛みと気分の不快を訴えられ、数十分後に意識を失いまして、蘇生を行いましたけれども、注入から約一時間四十分後にお亡くなりになったものでございます。原因は、現在も広尾病院及び警察で調査中でございますけれども、本件患者さん用に準備されましたヘパリンナトリウム液の入った注射器と、別の患者さん用に準備された消毒薬であるヒビテングルコネートの入った注射液を取り違えた可能性が大変大きいというふうに考えられます。  亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の方々に心から哀悼の意を表します。また、都立病院の信頼を損ない、都議会及び都民の皆様に心からおわびを申し上げます。 ◯山本(信)委員 今、概略ご説明いただいたんですけれども、この事故が起きた段階で、ちょっと考えてみると、指の手術をして、それですぐ死ぬということは普通ないことだと思うんですよね。そうすれば、当然何かの事故があると最初から考えてらしたんじゃないかと思うんです。これは場合によると、事故による死亡であるという可能性があり得ると思うんですけれども、警察も今捜査をしているというふうに答弁ありましたけれども、警察に届けたのはいつのことですか。 ◯廣田病院事業部長 警察に届けをいたしましたのは、二月二十二日でございます。 ◯山本(信)委員 事故が起きたその日というのは二月十一日のことですよね。それから警察に届けるのに十日過ぎてから、既にこの段階では遺体は火葬されていたということを考えますと、証拠の保全も含めて、非常に問題のある対応だったのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 病院といたしましては、ご遺族のご意向も踏まえまして、病院として徹底的な調査をしなければならないということで、病理解剖等を行いまして、事故原因の究明に全力を挙げたわけでございます。 ◯山本(信)委員 病理解剖をしたといわれるんですけれども、当然、この問題というのは、事故死であったというふうになった場合には、司法解剖が必要な問題ではなかったのかと思うんですね。そういうことをやはりきちんとするというのが、信頼を回復していくという上でも、また少なくとも患者さんのご遺族に対しての対応としてもとるべきであったのではないかというふうに思うんですけれども、どうですか。 ◯廣田病院事業部長 ただいまもお答えいたしましたとおり、病院といたしましては、心不全というふうな、事故以外の原因による死亡ということも推測されたということもございまして、ご遺族のご意向も踏まえながら、全力で病院としての原因究明に当たらせていただくということで、ご遺族のご了解をいただいたものでございます。 ◯山本(信)委員 心不全という、それは確かにそういう見方もあるでしょうけれども、実際に病院の中で調査をされた中でも、マスコミの報道の中でも、ミスの可能性があるのではないかというふうにいわれていたものを、やはりそういう形での調査で本当にいいのだろうかということを疑問に感じるわけです。  もう一つの問題は、この事故が発生をしてから、情報公開にかかわる問題なんです。地元の病院で起きた事故ですけれども、私が知ったのも、テレビ、ラジオ等の報道、そして新聞の記事ということです。  この事故が起きた段階で、または警察にそのことを捜査等の依頼をしたという段階で、これを公表するということをなぜされなかったのでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 今申しましたように、病院としては、ご遺族のご意向も踏まえまして、院として全力を挙げて原因の究明に当たらせていただくということでご了解をいただいておりまして、まだ原因の特定に、現在でも至っていないわけでございますけれども、当時全くその原因についてはっきりしなかったということが一つございますし、それから、警察に届けをして調査をお願いしておりました関係上、慎重な対応が必要だということも考えましたし、また、ご遺族のご意向も十分病院としてはそんたくしなければならないというふうなことを考えた結果でございます。 ◯山本(信)委員 今、ご遺族のご意向もそんたくをするということがいわれたのですけれども、本当にこの問題というのは、確かにその亡くなられた患者さんと遺族の問題であると同時に、都民全体の、東京都の医療機関が行っている医療に対しての信頼にかかわる問題だと思うんですね。ですから、具体的にどういう方が亡くなられたかという個人情報は別にしても、こういう事故が起こったんだと、少なくとも疑いがあるのだということで警察に捜査を依頼した段階で、病院として、また局として、こういうことは捜査を依頼しなければいけないものだということを当然判断されたわけでしょう。普通の死亡原因がよくわからない病死とは違うというふうに思ったからこそ、警察に捜査の依頼をされていると思うんですよ。  そう考えると、どういう方が亡くなられたかというプライバシーは別の話です。都立の病院で事故が起きたんだということに対して、少なくともそのことを公表をする、また、議会に対しても報告をすることが必要だったのじゃないかと思うんです。この時期というのは、ちょうど第一回定例会開会中の出来事ですよね。その辺でいかがですか、もう一回お願いします。 ◯廣田病院事業部長 先ほども申しましたとおり、病院としては薬剤の取り違えというふうなことについては全く想像もできないことでございまして、いろいろな原因について十分に究明しなければならないというふうに考え、またそのことをご遺族にも、院としての究明ということでご了解をいただいていたということ。  それから、公表ということになりますと、やはりご遺族へのいろいろな影響が及ぶというふうなこと、そこらを十分に配慮しなければならないということがあったわけでございまして、私どもとしては、公表することによって都民の信頼をつないでいくということが非常に大事だということは、重々承知しているつもりでございますけれども、一方では、プライバシーの問題ということについても十分な配慮が必要だというふうに思ったところでございます。 ◯山本(信)委員 遺族への配慮ということは、私も本当に大事なことだというふうに思います。しかし、こういう問題について公表をするということを考えた場合に、プライバシーを守りながら公表するという方法があると思うんですね。広尾病院という病院で事故が起きましたということは、事実公表できる話です。それが何歳のどういう患者さんだったかということについては公表しなくてもいい話なんですよ。そういう事実についてきちんと報告もする、公表もするということ、これがおくれた。そしてマスコミの方から取材が行く中で記者会見が行われるというあり方というのは、私はあり方そのものをぜひ反省をしていただく必要があるのではないかというふうに思います。  次に、都民の命を守る病院で、指の手術をして亡くなられるという、あり得ない、そしてあってはならないということが起きてしまったわけですけれども、再発防止のためにどのような対策を今とっていますか。 ◯廣田病院事業部長 病院といたしましては、この死亡事故を大変重く受けとめておりまして、二月十二日には、直ちに院長をキャップといたします事故調査委員会を設けまして、院内の関係者等からの徹底した調査を進めてまいりましたし、また一方では、先ほど申しましたような病理解剖というふうなチェックも行ってきたわけでございます。  それからまた、この事故だけではなくて、病院全体として類似の問題があってはならないということで、院を挙げて、職員に対する意識の喚起、それから各部門に対する点検ということを行ってまいりました。  また、広尾病院以外の全病院に対しまして、局として、こうした事故が二度と起こってはならないということで、総点検を指示いたしまして、現在、非常に具体的な作業を進めている最中でございます。 ◯山本(信)委員 今、再発防止のことを伺ったのですけれども、事故調査委員会をつくったとか、それから注意の喚起だとかいうことをいわれているのですが、本当にそれだけなのかということも思うんです。  幾つかの新聞の報道がありましたけれども、これは東京新聞でしょうか、「『効率優先』大病院に死角」という大見出しがついて、「広尾病院点滴ミス」というのがついています。それからこれは読売の、同じく夕刊ですけれども、「考えられぬ医療ミスまたも」ということで記事が出ています。こういうふうにマスコミも取り上げています。  また、このマスコミ報道の中で、いろいろな専門家の意見が求められて、そのコメントが出ているのですけれども、例えば、「点滴を消毒液などと間違えるとは、普通では考えられないミスだ。各病院では医療過誤対策として講習会を定期的に行い、防止策を図ってきているはず。それでもこれほど医療過誤が続くということは、個人の資質というより、むしろ組織的チェック体制に何らかの欠陥があるのだろう。このような状況を厳しく受け止め、事故防止対策を早急に見直すべきだ」といっているんですね。この方は、都立府中療育センターの副院長さんのコメントだというふうに、これは新聞が書いています。それから、これはある弁護士さんですね、医療事故関係に詳しい方だというのですが、看護婦の個人的な責任に終わらせずに、背景や構造的問題を調査すべきだというふうにいっています。  また、これは私、大事な指摘だなと思ったのですけれども、医事評論家の方が書いているのですが、「事件は、看護婦の不注意、思い違いが原因とみられるが、それだけで済ませてはならない。看護婦が慢性的に過労状態に陥っているなどが背景にあるのではないか。医療現場では、間違いが決して許されないのは当然のこと。経済効率だけを考えるのではなく、看護婦がもっと余裕を持てる勤務状態にするなど事故が起きないシステムを検討していくべきだ」と述べています。  また、きのうも夜、かなりのテレビでこの問題を取り扱いましたけれども、現場の看護婦さんがインタビューに答えている中で、非常に過密な労働、それから勤務のシフトという中で、あわやというような事故につながりかねないことをみんなが経験をして、看護婦の中には自信喪失状態という者さえあるんだ、これが看護婦の中に起きている問題なんだといった指摘もされているわけです。
     そういうことを考えますと、これはただ単に個人のミスとか連絡の不注意ということでは済まされない構造的な問題があるのではないかと思うのですが、こうした専門家の方の意見をどう受けとめているのか、伺いたいと思います。 ◯廣田病院事業部長 マスコミの報道で、いろいろな専門家の方々のご意見が報道されておりますことは、よく承知をしております。それぞれ私どもは謙虚に受けとめて、今後の再発防止につなげていかなければならないというふうに、大変重く受けとめているところでございます。 ◯山本(信)委員 謙虚に受けとめる、再発防止に努めるというご発言がありましたけれども、とにかく原因の究明を、なぜこういうことになるのかという背景をきちんと究明をする。それから再発防止ということについても、マニュアル化の問題などと同時に、体制などについても、こうした効率優先というあり方でよいのかという指摘もあるわけですから、きちんと検討をしていただきたいということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  九七年度に、広尾病院の病棟改修についての事前調査と基本計画の立案が行われたというふうになっていますけれども、その概要と進め方を、まず教えてください。 ◯町参事 広尾病院は、昭和五十五年に竣工して以来十八年を経過しておりまして、建物、附帯設備の老朽化が進んでおります。このため、平成九年度に、今後おおむね二十年間建物を維持していくことを基本的な考え方といたしまして、給水管、給湯管などの配管設備、それから機械設備などの劣化調査を行いまして、今後の改修プランの検討を行ったところでございます。 ◯山本(信)委員 その改修はどういうふうに進める計画なんですか、教えてください。 ◯町参事 先ほど申し上げました調査の結果を踏まえまして、空調、電気、給排水、衛生設備や病棟の療養環境の改善等を図ってまいりたいと思っておりまして、現在、設計を進めているところでございます。 ◯山本(信)委員 改修を進めるに当たっての方法なんですけれども、例えば、病院を全部閉めてしまったという豊島病院などの例がありますけれども、広尾の場合はどういうふうにやられるんでしょうか。 ◯町参事 広尾病院は、救命救急センターを運営するとともに、心臓病医療、公害病医療、島しょ医療などを重点医療として、全都を対象に高度専門医療を提供をしております。  今回の改修計画は、先ほども申し上げましたけれども、今後二十年程度の使用を可能とし、また、患者さんの療養環境の改善を図ることを目的としておりまして、そのための配管設備の更新や、病棟を中心といたしまして必要な部分の改修工事を行うものでございます。このような改修工事は、区域を分割して実施することが可能でありますこと、それから、工事中の都民へのサービスの低下を避ける必要があることから、病院を稼働しながら実施することとしたものでございます。 ◯山本(信)委員 病院の診療業務を続けながら、同時に改修工事をするということのようですけれども、こういうやり方をした例が今までにありますか。 ◯町参事 同様の方式といたしましては、平成六年度から平成八年度にかけまして、駒込病院におきまして、病棟を一部閉鎖して改修工事を行った経験がございます。 ◯山本(信)委員 今、駒込病院での改修工事のことが例としてあるんだというふうに伺ったのですけれども、駒込病院での改修の時期に、どういうことになったのかというので、私、調査をしてみたんです。そうすると、病棟の一部閉鎖に伴って職員の配置が減らされる、こういう中で日常業務と病棟の移動が同時に行われるということだったそうです。  例えば、ショットガン方式という何か物騒な名前で、どういうことなのかよく聞きましたら、三つの病棟を一遍に動かすと。AのあったところにBが来て、BのあったところにCが来るとか、そういうぐるっと回すというやり方をやるのだそうですね。そうすると、これをやるためには、関係している看護婦をフル稼働体制にする。その日はみんなが出勤する状態に持っていく。ですから、前後の勤務シフトが非常に大変だったということですとか、それから、五基あるエレベーターのうち一基が、その日はもう引っ越し専用になってしまう。または、荷物専用であったり、または患者さんの搬送という形になって、日常的に患者さんの搬送に使っているエレベーターは、要するにそのうちの四基でやらなくちゃいけないということで、新しい特別な手順が必要になるというようなご苦労もあったようであります。  さらに、引っ越しが行われた後、患者さんによっては、病状の変化が若干でも起きる方がいらしたり、実際に、病室の配置ですとか機器類の位置が変わるというようなこと、今まで体で覚えていたものが、現実にちょっと変わるということでも、大分そのことで動き方が変わってくる、こういう対応とかいうのも含めて、勤務の密度もいつも以上に大変、そして疲労度も通常を超えるというような、いろいろな苦労があったというふうに聞いているんです。  こうした現場の実態も踏まえて、広尾病院の改修に当たって患者さんにしわ寄せがいくことがないように、また同時に、看護業務に当たっている職員の労働環境ということも含めて、スムーズに仕事ができる、そういうような体制をつくるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◯町参事 改修工事に際しまして、病棟業務の引っ越し等が現実に発生してまいります。駒込病院も、今お話のありましたような引っ越しが何度かあったことは事実でございますが、今回、広尾病院の病棟改修に当たりましては、駒込病院での経験も十分に踏まえまして、患者サービスに支障がないよう万全に対処をしてまいりたいと考えております。 ◯山本(信)委員 それで、いよいよ広尾の改修に入っていくと思うんですけれども、地元にとっては非常に大事な病院であります。特に近年、開業医の高齢化なども進んでいるという状況の中で、本当に頼みの綱という状態に今はなっているんですね。そういうことも含めまして、地元へのこの改修工事にかかわっての説明はどのようになっているんでしょうか。 ◯町参事 近隣住民の方に影響が予測される工事につきましては、工事請負業者が決定し、工事の手順、搬入車両等工事の詳細が決まりました時点で、工事説明会という形で地域の方々にご説明をさせていただいております。工事の周知を図りますと同時に、工事への理解と協力をお願いをしているところでございます。  また、あわせまして、患者さんに対しましても、院内の掲示等を活用し、ご理解を求めているところでございます。 ◯山本(信)委員 計画によると、外来の患者さんのおいでになる見込み数も減らしているというようなこともあるようです。こうしたことで、実際に待ち時間が延びるとか、そういういろんな影響が起きるのではないかと私は心配をしているわけですけれども、そうした点も含めて、地元にきちんと納得を得る、そして、こうした声にこたえられるように、ぜひ努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  最後に、都立病院が発行しております領収書のことでお伺いするのですが、患者さんに領収書を発行していますね。利用者あてのこの領収書の発行の名義は、だれの名前になっていますか。 ◯町参事 領収書の発行の業務は、診療費の収納業務の一環として行われておりまして、この収納業務は委託をしております。この委託者が、収納受託者という形で、その名義で発行しております。 ◯山本(信)委員 今、受託者ということでいわれましたけれども、荏原病院の領収書を持ってきたのですが、これにこう書いてあるんですね。診療費というふうに書いてあって、診療費収納受託者と。住所が書いてあって、日本キャリエール株式会社。で、代表取締役の名前が書いてあって、日本キャリエール株式会社代表取締役の印というのが押してあるんです。実は、これをまじまじとごらんになった方が、あれっ、都立の病院で東京都にお金を払ったと思ったのに、領収書が何で東京都の領収書じゃないんだろうかという話がありまして、伺っているんですけれども、なぜこういうふうに受託者の名前にしているのでしょうか。 ◯町参事 収納事務につきましては、地方公営企業法第三十三条の二に、私人に業務を委託をすることができるという規定になってございまして、都立病院はこの規定に基づいて委託をしております。  受託業者は、受託業務全般にわたりまして、責任を持って実施する役割を担っております。その一環といたしまして、領収書は、受託者名義によりまして発行をしているということでございます。 ◯山本(信)委員 受託者の名義でという、今お答えのようなんですけれども、受け取った側にしてみれば、はてなと思う部分もあるのではないかと思うんですね。ですから、そういうことも含めて、この領収書のあり方を、私は検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ◯町参事 領収書につきまして、今ご指摘のとおり、わかりにくいというお話がございましたので、今後、法令上の問題点も踏まえまして、検討していきたいというふうに考えます。 ◯木内委員 まず、質問の冒頭に当たりまして、広尾病院の医療事故によって亡くなられました患者さんご本人に、心からご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の方に哀悼の意を表させていただくものでございます。  一人の生命は地球よりも重いという言葉がございますが、このかけがえのない生命が、常識的には考えられない医療ミスによって失われたとされる今回の事態は、まさに言語道断のケースであると。とりわけ、公立の医療施設での事故という点で、都民の信頼性の失墜は極めて大きいわけであります。  本日の質疑が、また今後のあるべき医療体制の構築に向けて意味のあるものでなければならない、こういう視点から、何点かお尋ねをいたします。  先ほどもご報告がございましたけれども、血液凝固阻止剤を投与するときに使う注射器も、あるいは整形外来でよく使う消毒剤の希釈用に使う注射器も、全く同じものであったという指摘も、また一方であるわけでございます。人体に投与する薬剤と問題になっております消毒剤との取り扱いは、もとより異なった対応が行われなければならないわけでございます。この取り違えがあった可能性が高いというふうにいわれているわけであります。  しこうして、二月十二日に、先ほどのお話のように事故調査委員会がスタートをしたということでございますけれども、病院の調査では、申し上げた点について具体的にどのようなことが明らかになりましたか。 ◯廣田病院事業部長 病院では、今お話のありましたように、二月十二日以来全力で、病理解剖も含めて調査をしてまいりましたけれども、これまでのところは、この患者さんが血栓によってお亡くなりになったということと、それから、薬剤の取り違えの可能性が非常に濃いということがわかったという範囲でございます。 ◯木内委員 推測といえども、軽率な発言は慎むべきだと思いますけれども、こうした事故が、いわゆる医療の分野全体での氷山の一角であってほしくない、こういう願望も持つわけでございます。したがって、緊急にこの病院におけるすべての医療作業をチェックするとともに、具体的な改善を行う措置を講じていく必要があると思いますが、所見を伺います。 ◯廣田病院事業部長 ご指摘のとおりでございまして、私どもは、この死亡事故が、今後の病院運営に大きな糧になるように生かしていかなければならない。またそのことが、お亡くなりになった患者さんに対する償いの一つでもあるというふうに思っておりまして、私どもとしては、この調査委員会における調査と同時に、広尾はもとより、全病院に対しまして、衛生局長名で、業務のシステムを総点検するようにということで、現在、具体的な作業を行っておりまして、これは単に看護部門のみならず、医師の領域、それから放射線や検査や、あるいはその他の領域も含めて、病院を挙げて、全力でこのシステムの点検、また注意の喚起等々を精力的に進めているところでございます。 ◯木内委員 総点検の実施、並びに関係者における意識の喚起という答弁がありました。  私は、具体的に申し上げますけれども、一連の医療作業の現場では、必ずダブルチェックをかけていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思います。こうしたチェックを、院内の医療事故防止の一定のシステムとして確立をしていくことが必要ではないのか。今、総点検という言及がありました。ぜひともこれも進めていただきたいが、同時に、申し上げておりますチェックシステムの確立というものを、今後、早急に行っていくべきである、このように思いますが、所見を伺います。 ◯廣田病院事業部長 この点につきましても、先生がご指摘のとおりであるというふうに思っております。現在の総点検の中でも、このチェックシステムを含めた作業を進めているところでございます。 ◯木内委員 繰り返しお聞きしますが、総点検作業とともに進めるこのチェックの作業は、チェックシステムの確立を行う具体的着手と受けとめてよろしいでしょうか、ご答弁を求めます。 ◯廣田病院事業部長 そのとおりでございます。 ◯木内委員 この医療事故の問題で、最後にお尋ねしますけれども、報道によりますと、この広尾病院では、一月以降、この事故の前より、各部署に対して、医療ミスを防ぐにはどうしたらよいか、さまざまな作業を行っておられて、二月の上旬には、医療事故予防の職場連絡会を開いて、アンケート結果を文書で配ったり、講習をしてきている、そういう努力がなされていた。残念ながら、それにもかかわらず、こうした事故が起こってしまったという事実経過は、無視することはできないと思うんです。このヒューマンエラーという問題、ルールや規則やシステムがあったとしても、なおこの人為的なケースというのは起こり得る可能性がある。  そこで、ぜひとも私は要請したいのですけれども、今、病院事業部長の方からは、医療関係者についての対策というお話がございましたけれども、例えば心理学や、あるいは法律学の専門家等もメンバーに加えた、いわゆるヒューマンエラー対策の総合的なチームづくりを行って、医療事故が単に医療現場の技術面や作業面にとどまることなく、包括的に、幅広い視点から検討をする作業も必要ではないか。もとより、これは国によって行われるべき内容でもあろうかと思いますけれども、申し上げた点を踏まえて、国に要請をするなり、あるいは先進的に都が、独自にこうしたヒューマンエラーを防ぐメカニズムの研究に取り組むことを検討すべきだ、この点を提案をいたしますけれども、所見を伺いたいと思います。 ◯廣田病院事業部長 今お話のありましたヒューマンエラーという言葉を、最近は時々目にするわけでございます。このヒューマンエラーという言葉に対して、どういう角度から、どういう方々によって検討することが、このヒューマンエラーという問題に対する取り組み方かということについては、私はまだ十分な知見を持っておりませんけれども、大変貴重なご提言をいただきましたので、これから早急に、先ほど申しましたシステムのチェックということとあわせて、検討をさせていただきたいというふうに思います。 ◯木内委員 大変真摯な、そしてまた真剣な答弁がありましたので、しっかりとこの対応をお願いしたいということを要望しておきたいと思います。  さて、平成九年度決算ということでございまして、九年の五月には最終報告が出されておりますが、その二年前には中間報告が、それぞれ都立病産院小児医療検討委員会から出されているわけでございます。こういう席で申し上げるのはどうかと存じますけれども、私が非常に尊敬をいたしております衛生局技監の林史先生も、平成八年までこの委員会のメンバーでおられたということで、子細にこの資料、報告を拝見をいたしております。医療構造や社会環境の変化の中で、単に東京都における小児医療の問題点をこの報告は明らかにしているのみでなく、我が国医療行政全体のもとでの小児医療のあり方への警鐘の乱打をしている、こういうふうに私は厳粛に受けとめたところでございます。  要約して何点か、小児医療に関してお尋ねをいたします。  まず、都内の小児科標榜医療施設数でありますけれども、病院において、昭和六十二年三百三十一カ所だったものが、十年間を経た平成八年には二百八十三カ所と、約五十カ所も減少してきている。また、一般診療所においても、三千八百三十二カ所から三千三百八十八カ所にと、約五百カ所近くも激減をしている実態があります。ちなみに、政令指定都市について見ましても、病院数で五百十二から四百六十八、一般診療所数で四千五百九十九が四千二百六十四へと、減少の一途をたどっている。全国的に一定の歴然たる減少傾向を見ることができるわけでありますが、病院と一般診療所のそれぞれの分野における極端な、こうした減少傾向をどう認識しておられるか、また、その理由と社会的背景についてお尋ねをいたします。 ◯荻野医療計画部長 ご指摘のとおり、小児科を標榜する診療所や病院は減少傾向にございます。このことは、地域医療の確保にとりまして、決して望ましいことではないというふうに認識しております。  また、その理由といいますか、社会的背景といたしましては、出生数が二十年前に比べて半減しておりまして、対象となるお子さんが減少していること、そのため、小児科医を目指す医師が減っていることなどが考えられるというふうに思っております。 ◯木内委員 今の減少理由に、少子化傾向などという、「など」も入っておりますので、実はさまざまな社会的要因がここにあるのだという、そういう認識をせざるを得ないわけでございますが、一方で、小児科を標榜する医師数の適切な確保ということも重要な課題でございまして、歴年の年齢比較を見るまでもなく、小児科医師の平均年齢は、他に比べまして九歳から十歳程度高齢となっておりまして、小児科を希望する医学生の激減ということも指摘せざるを得ません。  手元に、平成九年度厚生省発表のデータでありますが、一九八三年から九五年に至る十三年間の、全国の小児科入局者数の変動の調査結果というものがあります。時間の関係で、この点、ポイントだけ申し上げますけれども、その特徴は、年度ごとの入局者数は、前半の七年間に比べて、後半六年間では一〇%減少している。それから、女性の年度ごとの入局者数は増加しているけれども、前半七年間に比べ、後半六年間では二〇%女性が増加している。特に、最近三年間の女性入局者につきましては増加し、この女性入局者の増加というものが、全体としての減少傾向を辛うじて抑えている、こういう実態もあります。特に私立大学では、男性の入局者の減少が大きく、しかも、女性の入局者増がそれほどではない背景があります。全体として、やはり入局者数が減ってきている、こういうことであります。  要約すれば、我が国における小児科入局者が近年減少してきており、とりわけ男性の入局者の減少が著しい、女性が増加傾向なんです。こういう事態に対しまして、その理由はどのようにお考えになっておられますか。 ◯荻野医療計画部長 我が国におきます小児科入局者は、近年の少子化の一層の進展によりまして、減少傾向を示しております。また、その中で、小児科を希望する女性医師の比率が増加していることは、先生ご指摘のとおりでございます。  女性医師の増加傾向につきましては、医学部学生のうち女性の占める割合が、昭和六十年には五人に一人でございましたけれども、平成九年には三人に一人ということで、女子学生全体が増加していることが理由として考えられるというふうに思っております。 ◯木内委員 今のわずか二問の質疑のやりとりで明らかになっているわけでありますけれども、小児科標榜医療施設数が病院、診療所とも減少している、小児科の医師の数も減少傾向である。こういうことが実は明らかになったわけでありますけれども、ここで、小児医療の特色と診療報酬制度、医療保険制度との関係について確認しておく必要があります。  疾病構造としては、かつて小児疾患の多くを占めていた感染症が、保健衛生の向上や医療技術の向上等によりまして減少して、小児の疾患は、軽症のものと、もう一方では難治性あるいは慢性のものとに二極化しているわけであります。小児には、先天性疾患など固有の疾患があることに加えて、病状が変化しやすいため、緊急性が高く、感染症に罹患しやすい特性がある。加えて、患者が発達過程にあることから、診療、看護及び設備等のあらゆる面で、成人の場合とは異なった対応が必要になる。こういった理由から、今や小児医療は極めて専門性の高い医療である、こういうこともいえると思います。同時に、単一の小児科から、専門分化が進んできておりますけれども、小児は複数の疾病を併発することが多いため、専門分化した多くの分野の専門医が協力して、総合的な医療を提供する側面も要求される。  また同時に、申し上げたように小児医療は緊急性が高いですから、さらに、患児を連れての通院、入院時の面会が必要であることから、地域性の高い医療という特殊性もあって、まさに小児医療は多くのスタッフや専用の設備を必要とし、成人に比べて診療や検査でも大変時間がかかる。点滴一つ取り上げても、成人ですと、一回点滴の注射針を刺しておけば、小一時間それで済むわけであります。ところが、小児は二分か三分の間にむずかって、嫌がって、それを外してしまうとか、あるいは痛がる検査でありますとか、さまざまな治療のときに、成人なら医師一人が注射を打てばいいものを、看護婦さんやスタッフの方が押さえたり、実はさまざまな作業が必要とされるわけであります。ところが、こういったことが現行の診療報酬体系では評価されていないのが現状でありまして、採算性の面でも問題がある。したがって、これも今や、小児科標榜を避ける原因ともなっているわけであります。  説明が長くなって恐縮でございましたけれども、小児医療の健全な充実を図る上から、都は国に対して、診療報酬制度のこの部分に関する抜本的な見直しを要請すべきであろうと私は考えますが、いかがでしょうか。 ◯大倉健康推進部長 安心して子どもを産み育てられる体制を整備するためには、小児医療の確保は重要な課題と考えております。このため東京都では、周産期医療にかかわる診療報酬制度の改正などにつきまして、国に要望しているところでございます。  ご指摘の小児診療にかかわる診療報酬体系の改善につきましては、国の動向などを踏まえまして検討してまいります。 ◯木内委員 小児医療というのは、申し上げたように、今いろんな課題を抱えてきているわけでありまして、一般診療所や民間の医療施設における医療機能の整備等についても、診療報酬制度の見直しと並んで、極めて重要な課題としてとらえるとともに、長期的な行政対応もまた重要だと思うわけでありますけれども、当面する小児医療の実態に即した施策の充実というものも緊急性を持っている。そこで、行政的医療としてのとらえ方がますます重要になってくると思うわけであります。  まず第一に、都立病院は、医療機能の連携を図るため、いわゆる病診連携型ともいうべき開業医、一般診療所からの紹介制をとっているわけでありますが、先ほど来申し上げているように、小児科の開業医の激減傾向が続いてまいりますと、こうしたシステムは見直さざるを得なくなるのではないか、この点について所見を伺います。 ◯廣田病院事業部長 都立病院の場合は、高度専門、行政的な医療の提供を基本にいたしまして、持てる限られた医療資源を、できるだけ多くの都民の方に提供していきたいということで、地域の医療機関との紹介制を基本にいたしました医療機能連携というものを行ってきているところでございます。  しかし、今お話がありましたように、小児科の診療所が減ってきているということ、また、小児の患者さんが大変病状が変化しやすい等緊急性が高いということなどから、症状に応じた迅速な対応が求められるわけでございます。このために、都立病院といたしましても、これまでの医療機能連携に加えまして、地域に不足する、いわゆるプライマリーケアにつきましても取り組んでいかなければならないというふうに考えております。 ◯木内委員 我が国における小児医療システムの長期的な構築プランというものが必要だと思います。東京都は国に対してこの点を強く要請すべきである、このことを要望にとどめながら申し上げておきたいと思いますが、同時に、診療報酬制度にとらわれることなく、小児医療の総合システムが整備されるまでの間、経過的対応として、例えば特例的措置による支援体制を都は独自に進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。 ◯大倉健康推進部長 東京都は、小児医療の確保を図るために、地域の小児科診療を支える基盤として、都立小児病院や都立病院小児科の運営を積極的に進めているところでございますが、地域医療システムを補完するものとして、国に先駆けまして、乳幼児の特殊救急医療、それから周産期医療の充実を図ってきているところでございます。  今後とも、これらの施策の充実に努めてまいりたいと思っております。 ◯木内委員 さらに、休日夜間対策においては、必ずしも小児科の医師が当番として確保されているという実態ではありませんで、特に成人とは異なった対応が求められる小児救急については、小児科単独の当番制の設置が必要というふうに私は思います。現場で当直に当たられる小児科の若いドクターなどに聞きますと、やはりいかなる事態の、緊急性を持った患者が今晩飛び込んでくるのか、不安でしようがない、あるいはまた、一人ではなかなか対応できないことがある、こういう率直な心情の吐露に接したこともございまして、私はこの小児科単独の当番制の設置は、今極めて重要だと思います。  都は、休日及び土曜日の夜間において、各二次保健医療圏ごとに小児の専門医療スタッフを確保する乳幼児特殊救急医療事業、これを全国に先駆けて平成八年から実施しているわけでありまして、これについては私は高い評価をするものでありますけれども、同時に、繰り返しますが、今の小児科単独の当番制の設置についての見解を伺います。 ◯大倉健康推進部長 ただいま木内先生もおっしゃいましたとおり、東京都は、小児科、特に乳幼児領域の救急医療を確保するために、休日、土曜日の夜間におきまして、各二次保健医療圏ごとに小児科の専門医療スタッフを確保しまして、先ほど先生がおっしゃいました乳幼児特殊救急医療事業を、全国に先駆けて平成八年十月から実施しているところでございます。現在、六十四病院がこの事業に参加しておりまして、毎休日と土曜日の夜間に、当番制によりまして、十八施設、三十六床のベッドを確保しております。  今後とも、この事業の拡充を図るなど、小児の救急患者に対しまして適切に対応していきたいと思っております。 ◯木内委員 全体としての小児医療環境の整備が総合的に推進されることが望ましいわけでありますけれども、現状下では、やはり公的病院の対応に期待せざるを得ないのが実情であると思います。  重ねて指摘をしますが、社会的背景から、小児医療の分野では、時には採算性を度外視した行政サービスとしての側面が重要視されなければならない、ここに行政的医療の意味合いもあるのであろう、こう思いますけれども、都の見解はいかがでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 小児医療は、今ご指摘のありましたように、確かにこれまでは、一般的な医療といたしまして民間の医療機関等で行われてきたわけでございます。しかしながら、いろいろご指摘のありましたように、少子化の進行の中で小児科の診療所が減少している、そういう傾向もございますし、また、小児医療がその中で一般的な医療ということから、だんだん行政的な医療というふうな性質を帯びてきているように受けとめております。したがいまして、都立病院等の公的な病院が、その医療資源を有効に活用して対応していかなければならない必要性が高まってきているというふうに考えております。 ◯木内委員 別の角度から。小児がんなどの先端医療を行う医療機関は、今は首都圏あるいは大都市部に集中しておりまして、遠隔地から必死の思いで多数の子どもさんたちが家族とともに受診に上京している現実があります。このため、付き添いの家族は長期間の滞在を余儀なくされております。こうした実情を考えますと、家族の経済負担を軽減するとともに、付き添いの利便性を高め、さらには、入院児童の情緒不安を解消するために、家族が宿泊をし、親子の触れ合いができる機能を医療機関等に附置する必要がある、こういうふうに私は指摘せざるを得ない。  こうした趣旨から、厚生省は、本年度の第三次補正予算において、慢性疾患の患児を持つ家族のための宿泊施設の整備に対する補助事業を計上し、実施することとしているわけでありますが、東京都はこの施策の具体的推進に向けてどういう計画を策定しているのか、お尋ねします。 ◯廣田病院事業部長 ご指摘のとおり、小児がんでありますとか腎臓疾患など、大変長期の療養を要する子どもさんにとっては、その不安を解消いたしますために、親御さんとの触れ合いが大変重要でございます。このために、患者さんの家族は、病院の周辺で間借りをしましたり、あるいはホテルを利用するなどしてきたわけでございます。  都立病院でも、今回、患者の家族の経済的な負担の軽減を図るために、今お話のありましたように、厚生省の補助事業を活用いたしまして、清瀬小児病院、これは小児の専門医療を行っているわけでございますけれども、この病院に、家族が長期に低料金で滞在できる宿泊施設を四室ほど整備をしたいということで、今作業を進めておるところでございます。今後、他の都立病院小児科等につきましても、この経験を踏まえながら検討をしていかなければならないというふうに思っております。 ◯木内委員 特にこれは厚生省、国による単年度事業だというふうに聞いているわけでありますが、今の答弁にもありましたように、今後、当該病院小児科の入院実績等を見ながら検討ということでありますので、国に要請をする、あるいは都が独自にこの課題についての検討を行うなど、要望をしておきたいと思います。  最後に、先ほど触れた小児科医の減少とともに、女性の入局比率が大きくなってくることが推測されます。小児科医の中の女性医師の比率が増すことは、小児救急あるいはNICUなどの時間外勤務が勢い多くならざるを得ない小児医療を維持していく上で、さらに克服、検討すべき課題も多く生じることになってくると思います。  そこで、女性小児科医が安心して勤務を継続できるよう環境整備を行うこと、これも急務だと考えます。その具体策についてお伺いをするとともに、部長の方からご答弁をいただいた後、最後に局長から、東京都における小児医療の基本的な方向と都立病院の役割について、きょうの議論を踏まえて、どう対応をし、お考えになるか、見解を承って、私の質問といたします。 ◯廣田病院事業部長 お話がありましたように、女性が子どもを育てながら勤務を継続していくことのためには、保育体制を整備することが大変重要な条件になるものというふうに考えております。  このために、都立病院におきましては、安心して女性の医師が働けるように、院内に保育室を整備しているところでございます。また、妊娠・出産休暇や育児時間、育児休業等の諸制度も整備をされ、運用をされているところでございます。 ◯柳澤衛生局長 ご指摘のように、社会における急速な少子化の進展は、安心して子どもを産み育てる環境の整備について、都政の重要課題の一つと考えております。中でも、小児科医療の充実は、授かった命というんですか、そういう命を生かす、大切に育てていくということは、非常に重要だと考えております。今後、ますますその充実が求められている施策と考えております。  そのため、都は、周産期医療、乳幼児救急医療などの体制整備を初めとしまして、都立病院においては、その機能にあわせて、専門性が十分に発揮できるよう事業の充実に努めているところであります。ご指摘のいろいろな意見を踏まえまして、今後とも、これらの事業をますます発展させるなど、小児科医療の充実に全力を挙げてまいりたいと思っております。 ◯山本(賢)委員 二年ぐらい前から、私どもの墨田区で建設されております都立の墨東病院が、ことしの六月に、病床の規模を拡大して、新しい病棟を開始するようになっております。私は、この墨東病院が二十一世紀を目前に控えた新しい時代にふさわしい病院として、少子高齢化の進行や疾病構造の変化など、時代の要請に的確に対応し、その機能を最大に発揮するようにぜひなってほしいと、心から願っている者でありますが、その墨東病院について幾つかお尋ねをいたします。  この新しい墨東病院の病床の規模はどのようになっておりますか。また、医療課題、どういうものをやっていくかということについて、まずその面からお聞きをいたします。 ◯町参事 墨東病院の改築後の病床規模につきましては、七百二十九床となりまして、現在から百三十六床ふえます。  また、墨東病院で取り組みます医療課題は、従来から取り組んでおります救急医療、精神科医療、感染症医療、リューマチ、膠原病医療などに加えまして、急速に進んでおります少子化に対応いたしますために、総合周産期母子医療センターを整備して周産期医療に取り組んでまいります。そのほか、専門病床を整備しまして、リハビリテーション医療にも取り組んでいくこととしております。 ◯山本(賢)委員 これまた私ごとで大変恐縮でありますが、二年半ほど前に、私の孫でありますけれども、希代まれなるといいますか、余りまれではないのかどうかわかりませんが、完全大血管転位症という、心臓の動脈と静脈が逆につながっている、左右が逆についている、そして冠静脈も全く逆についているという、こういう子どもが生まれましたけれども、しかしこれは、大変熱意のある、しかも経験のある医師の処置によって、この命、ブルーベビーというそうでありますけれども、これをすぐさま手術をし、ゴルフのボールより小さい心臓に穴をあけ、そしてこの子を救って、今すくすくと育っているわけであります。これは、この墨東病院の医師、看護婦に二日間にわたって寝ずに看病していただいたおかげで、この子が助かって今日いるということを、都立の病院の先生たちは一生懸命やっているということを、まず委員の皆さんにもご報告申し上げながら、周産期医療と今いいましたので、そのことについてお聞きいたします。  少子化社会に対応する周産期医療の取り組みは、今いった子どもの生命と直接かかわる緊急性の高い医療であることから、極めて重要であります。墨東病院が担う産科医療は、民間の医療機関では対応が困難なハイリスク分娩、ハイリスク新生児に対応すべきであると考えます。我が党は、さきの第四回定例会においても、築地産院を統合する墨東病院は、総合周産期母子医療センターとして整備すべきであると指摘し、そのことについて整備をすると答弁をいただいておりますが、具体的にはどんな整備をされるのですか、お伺いいたします。 ◯町参事 墨東病院におきましては、都立病院では初めてのケースになりますけれども、母体から新生児まで一貫して総合的な治療管理が行える総合周産期母子医療センターといたしまして、ハイリスクの妊産婦に適切な医療を集中的に提供するためのM-FICU、これを九床、さらにハイリスク新生児に集中的な治療を行いますNICU、これを十二床新たに整備いたしまして、分娩室や医療スタッフの拡充はもちろん、高度な母子医療を迅速かつ適切に提供してまいりたいと考えております。 ◯山本(賢)委員 この間、何かのあれに書いてありましたね、診察室と待合室の間があいた方がいいなんていうふうなことを。特に産院においては、診察の内容が聞こえちゃ困るなんてなことをどこかで見たような気がいたしますが、ハイリスクの母体、胎児の、新生児にも適切に対応できるような、立派な施設にぜひしていただきたい。これまで以上に、私はご期待を申し上げるわけであります。  次に、築地産院がやめて、今度こっちへ来るということでありますが、それについて、築地産院で今診療を受けている人、妊産婦の方々、あるいはそこの新生児には、どんな対応をするつもりでありますか。先ほどどなたかからご指摘があったようなこともありますので、どんな対応をされるか、お伺いいたします。 ◯町参事 築地産院で分娩を予定されておりました産科の患者さんにつきましては、墨東病院を中心に他の都立病院でも対応いたしますほか、近隣の医療機関にも取り扱いのご協力をお願いをしているところでございます。  また、小児科や新生児医療につきましては、五月末日をもちまして診療を停止いたします。その時点で入院しておりますハイリスクの新生児につきましては、墨東病院の方へ、安全を確保しながら転送していただくというふうに考えております。 ◯山本(賢)委員 NICUに入っているハイリスク新生児を墨東病院へ転送するというふうなことの答弁ですが、これらの患者さんについては、一般の患者さんと異なって、呼吸管理を必要とするというふうな危険性を伴うと聞きますが、安全かつ迅速に搬送するためには十分な体制が必要だと、我々素人でも思うわけであります。  そこで、万が一あっては大変でありますから、この患者さんの搬送については、どんな対応をするように考えておりますか。 ◯町参事 先生がおっしゃるとおり、非常に安全管理が重要な搬送になろうかというふうに考えております。このため、東京消防庁の全面的なご協力をいただきまして、救急車による搬送を予定しているところでございます。また、実際の搬送に当たりましては、送り出す築地産院と受け入れる墨東病院双方に未熟児医療の専門医師や看護婦を配置いたしますとともに、搬送途中におきましても、患者さんの病状の急変などに対応できますように、医師、看護婦を救急車に同乗させるなど、万全の体制をとってまいりたいと思っております。
    ◯山本(賢)委員 どうぞ万全な対応に、さらに万全にしていただきたい、そのようにご希望申し上げます。  墨東病院は今後、周産期医療あるいはリハビリテーション医療も、今までより拡大して、拡充してやるということ、救命救急医療も、あるいはさまざまな医療に取り組むというお答えが先ほどありましたね。こうした医療機能を担っていく上で、今当然、いろいろな施設や設備面の配慮が必要だと思うんですよ。私は近くですから、時々墨東病院に行くし、またお見舞いもするわけでありますが、墨東病院は地域の中心病院としてありながら、救急医療などには積極的に取り組んでおりますよ。しかし、あのとおり狭くて、そして都立の総合病院でありながら、ここでいってはどうか知りませんが、MRIなんかないんですよ。近くの民間の病院でMRIを撮ってもらってくるなんていうふうなことを、今までやっていたということであります。  私は残念に思いましたね。都会議員として、何とかこのMRIを早くしなければならないと。だけれども、あれはなかなか重量があって、どこへでも据えつけられるようなものじゃないというんですね。部屋があいているから、あそこでやったらどうだと。ところが、工事中でありますから、工事でどたんばたんすると、この置いてあるところの精密な、いわゆる磁気反応でありますから、狂っちゃうから、意味ないというんです。だから、重量のあるものを、きちんとした土台をつくって、そして据えつけない限りは、MRIを持ってこれない、こんなことで、わかっていながら悩んでいたという次第であります。高度な医療に取り組んでいく墨東病院でありますから、MRIの整備はぜひとも必要である。それから、墨東病院の新しい病室の開設に当たり、高度専門医療を支える基盤となる施設や医療器具、今いった器具の面で、どんな配慮を今度はされておりますか。 ◯町参事 新病棟の開設に当たりましては、山本委員お話しになられましたMRIにつきましては、従来からの課題でもありまして、二台を設置するということで、優先的に取り扱わせていただいております。  それから、救命救急センターを十六床から二十四床にふやして、救急体制の強化を図っております。また、循環器科を新たに設置いたしておりますほか、リハビリテーション医療の充実にも努めております。手術室関係で申し上げますと、現在、七室でありましたけれども、これも十室に増設をすることといたしております。このように、さまざまな医療課題に対応し、高度専門医療をより有効かつ適切に提供できるよう、整備を進めているところでございます。  また、患者さんのアメニティーの向上を図りますため、病室は四人部屋を基本といたしまして、すべての病室にトイレを設置いたしますとともに、個室にはユニットシャワーも整備いたしまして、居住性を高めております。  さらに、大規模災害時の救急活動に対応するため、屋上にヘリコプターの緊急離発着場を整備いたしました。  また、工事中ご利用される患者さんにご不便をかけてまいりました駐車場につきましても、旧病棟の解体工事に合わせまして、今後整備していきたいと思っております。 ◯山本(賢)委員 墨東病院だけじゃなくて、ほかの都立で十三、今稼働している病院がありますが、都立の病院では、院長も各事務局長も頭を悩ましているのは、自己収支比率だろうと思います。病院といえども、やはり経営の面ではきちんとしていかなきゃならないという至上命令を受け、しかも、それだけではない、維持しなければならないこともあるという二律背反の場面もありますので、大変なことだと思うのですが、今おっしゃったような形でいるわけで、墨東病院は比較的良好な経営を、もう一つの病院とともにしているのじゃないかと思います。データを見るとそうなっておりますが、新しい病室、病棟ができて、新しい設備あるいは医療器械が設置されると、減価償却の負担などで経営が大変になってくると素人でも思うわけです。  そこで、経営面について伺いますが、経営状況の指標の一つである自己収支比率、これを持って大上段に振りかざすわけにいきませんが、今どうなっていますか、また、今後どのような方策を講じて良好な経営をやっていくお考えですか、お伺いいたします。 ◯町参事 先ほどのご質問の自己収支比率でございますけれども、平成九年度の墨東病院の自己収支比率は、七八・八%というふうになってございます。  先生ご指摘のとおり、新たな病棟の施設設備にかかわります減価償却は、経営面にかなり大きな影響を及ぼすことが想定されております。先ほどご説明いたしました施設設備を最大限に活用しながら、墨東病院が担う救急医療等の課題に積極的に取り組んでまいりまして、さらに、MRIも活用した精度の高い診断を行いながら、今後とも良好な経営が維持できるように努めていきたいというふうに考えております。 ◯山本(賢)委員 あと数分で終わりたいと思うのですが、先ほど私は私的なことを例に申し上げましたけれども、一人の子どもの命を救うために、二人の医師が寝ずに二日間もかかって、ようやっと助けてくれたと。そういうふうに医師や看護婦が、それこそ命がけで懸命に治療されていることは、私どもはだれでもよく知っております。ですから、心からお医者さんや看護婦さんに我々は感謝をしているわけであります。だから、医師の手は神の手、あるいは看護婦さんは白衣の天使ともいわれるのだろうと思うんです。病院を訪れる患者さんの回復を願い、慎重に、さらに慎重に治療行為を重ねているのが、現在の都立病院の大方のあり方だろうと思うんです。  しかし、今度のような、きのうの報道にありますような事故によって、都立病院に対する信頼が、音を立てて崩れてきたのではないかと思うんです。全く何ということをしてくれたんだと、そう思っている他の医療関係者の舌打ちの音が聞こえてきそうな気がいたします。あってはならない、信じがたい初歩的なミスが、ここ数回続けざまに起きておりますことを、我々よく聞かされております。心臓、肺の手術の患者を間違えて手術をしたり、血液型を間違えて輸血をしたり、一体何を考えて仕事をしているんだろうと、私たちは素朴にそう思います。  そこで、先ほどからお話があったように、広尾病院は、院長初めみんな優秀な医師が一生懸命やっていることは、私もよく知っております。しかし、こんな事故が起きたということは、何とも情けない事故で、先ほど説明を受けましたから、その点は聞きませんが、事故から一カ月もたって、どうして急に報道されたんだろうというふうなことは、都民だれしもが不思議に思うことは当たり前、思わない方がおかしいんです。しかも、その中で、司法解剖にすべきじゃなかったかというふうな発言もありましたけれども、司法解剖というのは、故意あるいは事故、そういうことが明白である場合に行うのであって、病原がわからない病院内の事故であるならば、原因究明が先であって、時間がおくれたことは少しは了といたしますが、それにしても、もっと機敏な対応があってもよかったのではないかと思うんですが、いかがですか。 ◯廣田病院事業部長 今、大変厳しいお話をいただきましたけれども、広尾病院では、死亡の直後から、関係職員に対します事情聴取を開始いたしますとともに、ご遺族の意向も踏まえまして病理解剖を行うなど、原因の究明に全力を挙げてきたわけでございます。  しかしながら、いまだ原因が特定できていないということと、それから警察に届け出を行いまして、警察が徹底調査を進めている状況にあること、それから、病院としては、やはりご遺族のプライバシーにできるだけの配慮をしなければならないというふうに考えたこと、そういう点から公表ができなかったわけでございます。 ◯山本(賢)委員 原因については、現在調査中というふうなことであれば、仕方がなかったかなあとも思うのですが、何とも納得できないところもあります。  これは、どなたかも先ほどいいましたように、新聞にも書いてありますように、その看護婦が過労であったか、あるいは、長年の習性のなれによって緊張感を欠いていたというような、個人的な問題かなあとも思いますし、それから、先ほど看護婦の量がどうのこうのというふうなお話もありましたが、都立の病院の看護婦の、ここに資料がありますが、このデータで見るとどうなんですか、まずお聞きしましょう。  民間の医療機関の看護婦さんの数、あるいは国立の病院、それらに比較して、東京都の場合の看護婦の人員の配置の量はどうなんですか。多いですか、少ないですか。 ◯廣田病院事業部長 都立病院の病棟におきます看護婦の配置につきましては、それぞれの病棟の患者さんの重症度、それから特性、業務量、そういうものを総合的に十分考慮をして配置をしているところでございます。今後とも、この病棟看護業務の実態を把握いたしまして、業務に支障が出ないように、体制の確保をしてまいりたいというふうに考えております。  民間と比べてというお話につきましては、私どもは、必要な人員についての配置は行っておりますので、決して少ないというふうには受けとめておりません。 ◯山本(賢)委員 国は。──それは後でもいい。調べておいたらいいですよ。  薬の取り違えの可能性をいわれるんであっては、組織的にチェックをする、何をやれば──先ほど先生が申し上げたように、マニュアルをちゃんと組んでいれば間違えることもないだろうし、注射器が違っていたり、色が違ってついていたり、いろんな配慮が、やっぱりその防止策があってもいいんじゃないか、そういうふうなことを素人の我々でも考えるわけです。それは、便宜主義あるいは合理主義という、今はやりの言葉に対する一つの大きな警告だったのではないでしょうかね。もうちょっとしっかりしろよという、この警告があらわれてきたんだろうと私は思うんです。ほかの病院にあっても困るんですけれども、少なくとも東京都立の病院にあっては、二度とこんな事故は起こしていただきたくない。  最後ですが、柳澤局長、今後、どんな決意で、どんな対策をお考えになっているか、ご披露いただきまして、私の質問を終わります。 ◯柳澤衛生局長 このたび、都立広尾病院におきまして、入院患者さんが点滴直後の急変により死亡されるという不幸な事態が発生したことは、まことに申しわけなく思っております。亡くなられた患者さんには、心からご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の方々には、心から哀悼の意を表するものであります。  都立病院におきましては、既に昭和六十二年から、各病院に医療事故予防対策委員会を設置し、医療事故の防止に努めてきたところでございますが、広尾病院では、今回の事故を受け、新たに院長を中心とした事故調査委員会を設置し、事故の発生原因の徹底解明を行うとともに、全職員に対し、事故防止に対する意識を改めて喚起し、事故の再発防止に全力を挙げてまいる所存でございます。  また、他の都立病院に対しましても、医療事故予防対策委員会を中心に、注意喚起及び院内総点検の実施などによる徹底した事故防止策を講ずるよう指示をしたところでございます。  今回の医療事故は、あってはならない事故でございます。二度とこのようなことがないように、全職員が一丸となって取り組んでまいる所存でございます。 ◯藤川委員 私は、広尾病院で起きた不幸な出来事に関して、一点だけを述べさせていただきたいと思います。特に、現在、その原因を究明中であるということですので、安易な質疑は避けたいと思います。  先ほど山本委員が、お孫さんの治療に当たって、本当に墨東病院がよく尽くしてくれたということについて感謝の意を述べられておりましたが、私の地域におきましても、都立病院に対する信頼度というのは絶大なるものがあるわけです。私の地域といいますと、府中病院ですが、大変な病を患って府中病院に厄介になっているといいますと、地域の人は、よかったねというわけです。都立病院に対する都民の皆さんの信頼というのは、相当大きなものがあるわけです。  あるとき私、どうして都立病院がそれほどの信頼をかち得ているのかということを聞きましたら、その方は、ややもすると、人体を研究の対象として取り扱っている医療機関が多い中でもって、都立病院は本当に心から治療に専心しているということをいわれて、そうかな、それがその理由なのかなと思ったわけです。皆さんが一生懸命努力をされて、そして都民の皆さんから多くの信頼をかち得ていても、本当にささいなことから、その信頼は崩れてしまうわけです。  ですから、今後、このようなことが二度と起こらないように、十分心を尽くしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。 ◯丸茂委員長 この際、議事の都合により、約五分間休憩いたしたいと思います。    午後三時七分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時十五分会開議 ◯丸茂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯たぞえ委員 せんだって病院会計決算書をご説明いただきまして、この中でも都立病院に入院患者一日五千八百四十七人、年間延べ二百十三万人、外来で一日九千二百九十九人、年間延べ二百七十三万人という、大変都立病院は都民にとっても欠かせない医療機関です。この点でも、都立病院が都民の健康維持と回復のための治療にどういう施策を行ってきたのか。また、元気に暮らしたいという都民の心が動く、そういう自治体としての役割がどう発揮されてきたのか、このことが、昨日の広尾病院の事故等についても、改めて問われているというふうに思います。  そこで、この決算書の中の四二ページのところで、収益費用明細書というのがあります。収益と費用、支出と収入というわけですが、この支出に当たる費用のところに経費、四四ページに、百六億六千七百万円の委託料というのが記載されていますが、この委託料、決算では、とりわけ業務委託では幾らで、どういう内容だったのか、まずお示しいただきたいと思います。 ◯廣田病院事業部長 病院全体の委託料百六億円のうちで、業務委託に要しました費用が七十九億七千四百余万円でございまして、その他につきましては、病院情報システムのコンピューター関係費でありますとか、各種の機器の保守委託などにかかわる経費でございます。業務委託の主な内容は、医事事務の委託、設備運転保守、清掃等でございます。 ◯たぞえ委員 この経費決算二百四十五億円のうち、その三分の一近くが民間への委託料として支出されているわけで、相当な予算措置が図られているというように思います。都内には十四の病院がありますが、そのうち、この新宿区にあります大久保病院でも業務の委託が行われています。委託している従事職員の業務配置の内訳と、人員配置はどうなっているのか。 ◯廣田病院事業部長 大久保病院の場合には、委託業務の中で清掃が十五名、電話交換が四名、洗濯が一名、調理が十名、食器洗浄が六名、医事事務が二十六名、収納事務が四名、病棟事務が十名、外来事務が十五名、病棟作業九名、薬剤作業三名、検査作業二名、中央器材室の作業が七名、手術室の作業が三名、病歴作業十一名、その他七名ということで、計百三十三名、これは先般の三月十一日に実際に調査したときの結果でございます。 ◯たぞえ委員 私の調査でも、大久保病院、各種作業だけで三社、荏原病院でも三社の業者がこの委託業務をやっているわけです。その中身は、今、答弁がありましたような、食堂や調理だけではなくて、都民の健康と直結をする業務、例えば入院の受け付け、退院受け付け、計算入力、在院請求、初診・再来受け付け、予約入力、病名入力まで、多種多彩の委託業務が行われているわけです。  しかも、今、答弁がありましたように、手術作業、これが委託になっているんですね。手術といえば、生死をさまよう方もいらっしゃいますでしょうし、緊急の対策で治療をしなきゃいけない。そういう患者にとっても、医療スタッフの中でも、手術室作業というのは、大変重要な業務だと思うのです。この手術室業務の委託は、どの病院で何人、都立病院全体では配置されているのでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 先ほどの調査によりますと、手術室に従事をしております作業の委託職員は、広尾病院で五名、大久保病院で三名、大塚病院で二名、駒込病院で四名、荏原病院で六名、墨東病院で二名、府中病院で二名、神経病院で二名、計二十六名でございます。 ◯たぞえ委員 その作業系職員は、都の職員は、この手術室にいらっしゃるのですか。 ◯廣田病院事業部長 都の作業系職員は手術室には配置しておりませんで、すべて委託の職員で対応しているところでございます。 ◯たぞえ委員 今回の事件でも、肝心な手術室に都の職員がいない。この職員さんは委託の会社の職員さんです。広尾病院、五名の委託職員が配置されておりますが、都の職員はいない。大変なことだというふうに思うんですね。本来、病院でしかできない高度な技術が求められている、その最も先端の現場で、そういう専門性と緊急性が蓄積されていない一年雇用の方に、そういった仕事を託すということ自身が、都立病院のあり方として、私は問題があるのではないかというふうに思います。  もう一つ聞きますが、業務委託をしてない病院は、都立病院にあるんですか。 ◯廣田病院事業部長 範囲については、まだいろいろ違いがございますけれども、委託を行っていない病院というのはございません。 ◯たぞえ委員 全病院に委託がされている、こういうことです。これらの病院では、医師と看護婦を除く委託業務関連にかかわる都の職員と委託職員との構成比は、どういう実態ですか。 ◯廣田病院事業部長 委託対象業務に従事しております都の職員は、都立病院全体で四百五十八名でございまして、全体の職員に占める割合が約二〇・九%ということになっております。 ◯たぞえ委員 今のところですが、都の職員は何人で、委託職員は何人で、都の職員はそのうち何割か、もう一度教えてください。 ◯廣田病院事業部長 委託対象業務に従事する都の職員が都立病院全体で四百五十八名でございまして、全体の職員二千百八十八名に占める割合ということになりますので、二〇・九%に相当するわけでございます。 ◯たぞえ委員 結局、この業務にかかわる職員のうち約八割、七九%が民間の職員によって運営されている。つまり、委託業務の中で、都の職員は二割だけです、看護婦や医師以外は。もう丸ごと、病院ごと、委託会社が経営していると同じじゃないですか。事前にいただいた委託従事職員の配置を見てみますと、医事というのがありますね。これはカルテの管理。それから、会計、収納といわれているようですが、これも全部委託。ですから、患者さんが都立病院に行けば、都の職員かどうかという判定はできません。皆さんが都の職員だろう、こうやって安心して医療に対応している。しかし、実際には八割が、そうした業務に他の民間会社の方がかかわっているというわけです。  私、先日、梅ケ丘病院を視察をして、そこに働く清掃の職員の方に話を聞きました。こういっています。会社はこれまで外の仕事を行っていたけれども、今年度から病院業務を初めて扱うようになり、自分もふなれだが、何とか仕事をしている。しかし、契約期間が一年間で、来年度の四月からは、この病院で働けるかどうか不安だというふうに語っております。毎年毎年契約するのは職員だけではなくて、受託会社も、その都度入札で、次の年の契約を交わせるかどうか、不安をいつも抱えて仕事をしているんじゃないんでしょうか。都立病院の業務委託が進みますと、新たな民間企業の参入が行われると思いますが、七年、八年、九年の三カ年で、都立病院に新規参入してきた、いわば受託が初めてという業者は幾つあるのですか。 ◯廣田病院事業部長 平成七年度は一社、平成八年度は四社、平成九年度は六社でございます。 ◯たぞえ委員 新規に参入してきた会社ですから、今まで外のビルの清掃をやっていた会社が、今度は病院の仕事に入ってくる。都立病院としての目的ですとか、役割とか、そういうものは参入してくる新しい業者にとっては、全く初めての体験です。そこに来る職員も、当然初めての仕事です。せんだって行きました梅ケ丘病院では、患者さんとも直接触れざるを得ない、そういう方が仕事をされていました。これらの委託職員は、やっぱり病院という命にかかわる業務の場合は、一定の専門性の継続が欠かせないというふうに思うのです。また、病院の患者さんに直接大きな影響のある業務で、患者のプライバシーや衛生管理面でも、十分な配慮が行われなければならない特殊な分野です。  ある総合病院の受託業者がいっていますのは、都立総合病院の受託は初めてなので、会社として力を入れ、他の病院で経験を積んだスタッフをそろえた。その結果、経営的に採算がとれず、職員の賃金、労働条件を著しく低下させなければならず、患者へのサービス低下に結果的にならざるを得ない、こう語っていらっしゃるわけですね。受託業者は、病院経験者が少なくて、しかも人材難で、その結果、マニュアルや指示がなければ動きがとれない。例えば給食調理ですけれども、食材の使い込みですとか、配膳時間に間に合わないことも、しばしばあるというふうにも、お話を聞いてきました。そのために、毎日細かな打ち合わせを欠かせない。そして、栄養士は献立についての細かな指導内容を記入したメモを渡さなければいけない。その結果、栄養士の業務は、むしろ増大をしているというふうにも語られておりました。病院の食事は治療の一環ですから、食事オーダーの内容がますます多種多様化しておりまして、特に慢性疾患の治療には質の高い治療食の調製が大変大事です。質の高い治療食を提供するには、やはり治療に対する知識とか、調理技術との一体性があってこそ、初めて医療ニーズや患者ニーズにこたえることになるのではないでしょうか。  私は、改めて伺いたいのですが、都みずからの責任で必要な知識や規則、また教育や訓練、研修が欠かせないというふうに、その業者に対して思うのですけれども、都としてはどういうふうにされているのでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 病院が受託業者に対しまして、そのレベルを維持するために業務内容について十分理解していただくことが必要でございます。そのために、契約の際には詳細に仕様書の説明をいたしますとともに、個別、具体的に業務内容を説明をしているところでございます。また、受託者である業者は、この仕様書に基づいて業務マニュアルなどを作成いたしまして、従事する職員に研修を通して病院の業務を理解していただいているところでございます。  また、病院といたしましても、この業者から研修計画を出していただき、また、年度末にはその報告書もいただくなど、従事者の研修を確認をいたしまして、そして、業務が患者サービスに十分効果のあるような形で維持されるように努力をしているところでございます。 ◯たぞえ委員 都として、独自に委託職員に対する研修は行っていないということですか。受託業者が自分の職員に行うのであって、都としてはやってないのですか。 ◯廣田病院事業部長 病院が業者と契約をいたしますと、業者はその自己の責任において、従事する職員に対して十分指導徹底をしていくということでございます。 ◯たぞえ委員 やっぱり会社任せだと思うんですね。ここに仕様書というのがあります。これは受託業者と当該病院とが結ぶ細かな取り決めです。この中でこういうふうに書いてあるんですね。年度当初に年間研修計画を作成し、都に提出する、また、研修終了後は研修結果を都に提出する、都はこの報告書を受け取るわけです。この報告に対して、東京都が病院業務を周知徹底させるために、業者自身にどういう研修が行われたのか、これはつかんでいるのでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 業者に対しまして、病院としては契約の段階で十分その業務の内容を理解していただき、また、その遂行に当たって、患者サービスに直接影響のある部分もあるわけでございますから、その処理レベルにつきまして徹底をしているところでございまして、受託をした業者においては、当然その業務について、すべて受託者の責任において完結をしなければならないという面がございますから、直接私どもが受託会社の職員を指導するということはできませんけれども、内容については十分病院職員がチェックをし、指導もしているところでございます。 ◯たぞえ委員 それでは、どういう研修内容か、開催回数や対象者、人員、こういうことを報告だけを受けるのですか。 ◯廣田病院事業部長 ただいま申しましたように、業者が、それぞれ受託業務をその社員を通してやっているということにつきましては全責任を負っておりまして、私どもが直接その職員個々に対する指導ということはできませんけれども、内容については、その責任者を通して日ごろからチェックもしておりますし、その処理水準を見ておるわけでございまして、その中で研修につきましても、これがなければ十分な業務処理が行えないということで、日ごろから指導はしておるところでございます。 ◯たぞえ委員 開催回数ですとか、対象者、人員、テーマ、これを報告を受ける、また、それをチェックするということだけではなくて、今の都立病院として、どういうテーマで企業として研修を行ってもらいたい、これについてどういう成果があったのか、そこまでは、やはり研修については、きちんと行政としての責任を果たさなきゃいけない、これが最低の課題じゃないですか。  結局、委託すれば、後は会社にお願いをしよう、野となれ山となれ、これでは都民の命を守れませんよ。仮に研修テーマの中身が病院業務の中身とかけ離れていた場合、これはチェックするでしょうが、実際に清掃ですとか、手術だとか、そういうものにかかわる方に、その効果がもたらされないようなものならば、それは研修としての意味が半減するんですよ。やはりその業種に合った研修を、こういうテーマできちんと訓練も教育も受けてほしい。都は、もっと積極的にそういうものにかかわるべきだということを指摘をしておきたいと思います。日常的に今、委託が繰り返されておりますが、都民の命を守るという責任から見ても、回避している、私はこのようにいわざるを得ません。  給食調理の委託拡大が行われていますが、この拡大によって都民サービスの低下が起こらないという保証は、確保されていると確信されているのでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 都立病院におきます業務委託は、都民サービスの向上ということと、行政運営の効率化を図るという二つの目的のために、民間企業が持っております専門性とか、効率性とか、あるいは弾力性というものを活用するという全庁的な方針の中で実施をしているわけでございます。委託に当たりましては、今ご指摘のあったようなことが起こらないように、都民サービスが絶対に低下しないようにという見地から、適正かつ確実な委託先の選定、それから委託後の厳正な指導監督、こういうことをやりながら慎重に対応し、そのレベルの維持を図っているところでございます。 ◯たぞえ委員 先ほど柳澤局長が、都立病院のあり方について、専門性が発揮されるべきだと答弁されていました。しかし、一方で、毎年毎年会社がかわったり、職員がかわったりして、その専門性の継続という問題では、大きな課題が与えられてしまったんじゃないでしょうか。来年度は、神経病院の給食委託ですとか、墨東病院、広尾病院での医療作業の業務委託が予算では打ち出されています。今回の広尾病院の事件を考えますと、効率を求めるばかりで、都民サービスの低下がもたらされる、そういうことは絶対避けなければなりません。  特に、病院は、医師、看護婦、職員が一体で運営することによってこそ、初めて病院としての機能が発揮されるわけで、その中心点を外に託すという考えや方向というのは、やはり私は公立病院のあり方として後退を招くことになりかねないということを強く指摘して、質問とします。 ◯東野委員 提出していただいております決算資料に、豊島病院の改築工事に関する記載がございます。また、入手いたしました資料によりますと、豊島病院では、これまでの医療に加えまして、新たに精神医療やターミナルケアに取り組む予定となっています。本日は、欧米では既に一般的になっているといわれておりますターミナルケアへの取り組みについて、何点かお伺いしたいというふうに思います。  近年の我が国における死亡数の中で、がんによる割合が大きく、また高まる傾向にあることから、末期状態にある患者へのターミナルケアの関心が高まっているといわれております。単なる延命措置ではなく、残された日々を充実して生涯を全うするためのターミナルケアへの積極的な取り組みが大変に重要であると考えるのは、私ばかりではなく、多くの方々が心に抱くことであり、このような患者並びに家族の思いが医療のあり方にも大きな影響を及ぼしてきていると思います。  そこで、まず初めに、都立病院におけるこれまでのターミナルケアへの取り組みについて伺います。 ◯廣田病院事業部長 都立病院では、平成七年一月に駒込病院に緩和ケア病床を二床設置いたしまして、ターミナルケアのモデル事業を実施してまいりました。このモデル事業は、専任のドクターや看護婦を初め薬剤師や心理の職員、医療ソーシャルワーカー等から成るケアチームを編成して実施しているものでございまして、都立病院におけるターミナルケアを実施していく上での中核となる人材の育成をするとともに、そのノウハウを蓄積するということを目的にいたしまして運営しているものでございます。 ◯東野委員 ただいまお話のございました駒込病院でのトライアルケースといいますか、取り組まれてきたターミナルケアのモデル事業において明らかになった事業遂行上の重要項目、また課題として明らかになってきたことがございましたら、お知らせいただきたいと思います。 ◯廣田病院事業部長 駒込病院におきますモデル事業の実施によりまして、一つには、疼痛の緩和など、患者さんの病状に合わせた症状のコントロールを行うことが必要であるということ、もう一つは、身体的なケアや患者さんの生活習慣に合わせた援助が患者さんの精神的な不安を軽減させることになるということ、さらに、ご家族のケアに努めることが患者さんの精神的安定にもつながるということ、また、在宅ケアへ移行できる患者さんを的確に見きわめまして、早くから患者さんやご家族に対しまして在宅ケアに向けた援助を行っていくことが必要である、そういうことを改めて認識したところでございます。  今後、患者さんが在宅ケアへ円滑に移行できるようにするために、近隣の医療機関や訪問看護ステーションなどとの連携を進め、それを支援していくシステムづくりが必要であるというふうに考えておるところでございます。 ◯東野委員 駒込病状でのモデル実施、その成果はぜひとも今後のあらゆる分野に活用していただきたい、このように希望するところでございます。  ところで、ことしの七月に開設予定の豊島病院におけるターミナルケアに対する具体的な取り組み内容についてお伺いします。 ◯廣田病院事業部長 豊島病院におきましては、ターミナルケアを重点医療課題の一つとして位置づけておりまして、都立病院としては、初めて二十床の緩和ケア病棟を整備するわけでございます。具体的には、厚生省の緩和ケア病棟の施設基準、これを上回る広い病室を全室個室で確保いたしますとともに、屋上庭園や多目的ホールを整備するほか、家族の控室や、それに隣接するファミリーキッチン、こういうものを設けるなど、患者さんやご家族のプライバシー、アメニティー等に配慮した施設整備を行ったところでございます。  また、ターミナルケアに関する専門的な知識、技術を備えた医療従事者を確保するとともに、ボランティアの協力を得るなど、医療の枠を超えた社会的資源も活用していきたいと考えております。  さらに、在宅ターミナルケアへ円滑に移行できるように、訪問看護ステーション等との連携を図るなど、支援に努めていきたいというふうに考えております。 ◯東野委員 今お聞きしましたように、豊島病院では、都立病院では初めて重点医療としてのターミナルケアに取り組むわけでありますけれども、ぜひとも緩和ケア病棟の機能が最大限発揮されるように希望するものであります。  さらに、ターミナルケアに対する都民ニーズを思いますと、当然ながら都立病院だけの対応では、おのずと限界があるのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、お伺いするわけでございますけれども、現在、都内にはターミナルケアを実施している病院はどのぐらいあるのでしょうか。全国ですと四十九施設、八百七十八床というデータがあるのですけれども、東京都内におけるデータをお示しください。 ◯荻野医療計画部長 現在、ターミナルケアを行うものとして緩和病棟を届けている病院が、都内に八施設、百四十六床ございます。 ◯東野委員 全国の数もさることながら、都内の数は非常に少ない。まだまだの段階ですから、しようがないんですけど、実際は非常に少ない、このように思われます。都内では新たな整備に、建設コスト一つをとってみましても、非常に困難な問題を抱えるわけでございますが、そうはいっても、現在の整備状況では、もちろん満足するわけにはいかない。国もさることながら、都としても、緩和ケア病棟の整備促進に向けて対策をとるべきというふうに考えますが、所見をお伺いします。 ◯荻野医療計画部長 東京都は、緩和ケア病棟の整備を促進し、ターミナルケアの充実を図るため、平成五年度から、民間病院等を対象といたします緩和ケア病棟施設整備費補助事業を実施しております。また、都内の全医療機関の医師や看護婦等を対象といたしまして、ターミナルケアに関する各種研修事業を実施いたしまして、人材の育成に努めております。今後とも、これらの事業を推進し、平成十四年度を目標に、島しょを除く全二次医療圏におきまして、一カ所以上の緩和ケア病棟の整備を目指してまいりたいと思っております。 ◯東野委員 最後になりますが、安らかな死を迎えることは万人の望むところであるわけでして、人としての最終の希望をかなえていく、生を支えるケアの重要性を訴えたものがターミナルケアの精神ではないか、このように私は思うわけでございます。今後の高齢化社会の中で、ますますこのニーズは高まってまいります。都民の期待に過つことなくこたえるために、都としては、都立病院を初めターミナルケアの支援体制を整備するとともに、緩和ケア病棟の整備に努められることを強く強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。 ◯川井委員 最初に、都立病院の医療的な位置づけ、そして社会的な役割についてお聞きしたいと思っております。と申しますのは、例えば特定機能病院だとか、地域医療支援病院だとか、あるいは診療所とか、そういう形の中で、東京都とするならば、どこの部分を目指して位置づけを考えているのか。  もう一つは、都立病院として、民間病院と同じ役割を社会的に果たそう、こういうことではないだろうと。そういう意味で、社会的にはどういう役割を果たそうとしているのかということを、まず最初にお伺いします。 ◯町参事 都立病院では、従来から民間医療機関では対応が困難な行政的医療でありますとか、高度専門医療を都民の方々に適正に提供することを基本的な役割として運営をしてまいっております。その中で、特定機能病院であるとか、地域医療支援病院というお話がございましたけれども、私どもの今申し上げました都立病院の基本的な役割といいますのは、必ずしもその役割分担とはちょっと違う方向といいますか、体制化されていないところに、まだあると思いますけれども、基本的には民間医療機関で対応がしがたい高度専門医療、行政医療を提供していきたいというふうに考えております。 ◯川井委員 例えば高度医療の場合、都立病院十四が全部すべての分野について同じ水準にある、あるいは、同じテリトリーを持ってやるということは不可能なことだろう。そうなると、ブロックに分けて、その地域的なブロックで対応していけるような体系というものをつくり上げていかなきゃならないだろうと思うのです。その専門医療、高度医療というのが、十四のうち一つの病院でしか扱っておりませんよということになるならば、それは都立病院として一千二百万都民の健康というものに、果たしてこたえられていくんだろうかという思いがありますので、そういう体系分けをしながら進んでいるのではないだろうかと思うのですけれども、その部分はどうなんですか。
    ◯町参事 都立病院は、現在十四病産院ございますけれども、それぞれの病院が、きょうもいろいろご議論いただきましたけれども、特徴のある医療課題、重点医療分野を分担し合いまして、それが十四病院トータルで、全体として都民にすべての医療課題と申しますか、広範な医療課題に提供できるようにネットワークを組みながら、運営を進めているという状況でございます。 ◯川井委員 実は、先日そのようにお聞きしたのですけれども、私は、十四病産院すべてで、トータル的に対応できるということよりも、東京のこれだけの面積的な部分からいくならば、やはり三つくらいに地域的なブロックに大きく分けて、その中で対応できるような体制というものが必要なんじゃないだろうか、そんな思いが一つしております。  なぜそんな聞き方を今しているかというと、実は痴呆老人、これは脳血栓症あるいはアルツハイマー型、この方の家族──例えば私の父がそういう状況になった、さあ何科へ連れていくんですか。 ◯町参事 痴呆が疑われるようなケースの場合は、基本的には精神科、あるいは都立病院では総合病院の中に神経科という形で外来部門を持っておりますので、まずは、ここが入り口になろうかというふうに考えております。 ◯川井委員 実は、多くの病院が精神科と聞いております。本当に精神病なんでしょうか。 ◯町参事 痴呆性老人にも幾つかのパターンがあろうかというふうに思いますけれども、医療を必要とするようなケースの痴呆の方々というのは、精神科の症状を伴うことが多いというふうに理解をしております。 ◯川井委員 そういう開放型の病室を持っているところもあるのですが、多くはどういうところに入院をするかと申しますと、実は鉄格子の部屋なんですね。まさしく精神科の病棟です。重症の方々と一緒の病棟です。ここら辺、家族の精神衛生的なものを考えると、非常に心の痛みも感じておりまして、一方にはグループホームみたいな、そういう何人かで通常の生活を送るような中で、一緒に生活をするということにおいて、大変快方に向かうという場合もあります。  そういうような施設というのは、私は東京都の病院として果たして──いわゆる民間ではなかなか採算が合わないような、そういう意味では行政医療の範疇になるのかと思います。そういう形での努力というのが、どの程度されているのかなという思いがするのですけれども。 ◯町参事 鉄格子の問題を今お話しになられたわけでございますけれども、都立病院の中では、痴呆性老人を担当させていただいている病院は、松沢病院がございます。松沢病院の基本的な役割としましては、先ほども申し上げましたけれども、民間医療機関では対応が困難な分野の医療に主として対応するということでございます。したがいまして、病院全体としては、症状の激しい方がお入りになるようなことも多くて、鉄格子のある病室もかなりございます。その中で、痴呆性老人をお預かりしております病床、六十床ございますけれども、この病床につきましては、保護室としても使う個室を除きまして、すべて鉄格子を用意してない、いわばお話にある開放型に近い病床構造というような形でやっております。  グループホームというようなお話もございましたけれども、都立病院の今の役割の中では、グループホームの経営ということについては、当面まだ検討の俎上に上っていないということでございます。 ◯長岡医療福祉部長 老人性痴呆の方でございますけれども、現在、六十五歳以上の人口の四%から五%の方がいらっしゃるということで、実際はかなりたくさんの方がいらっしゃるということでございます。その中でどういった施設を利用されているかということでございますけれども、精神病院に入院されている痴呆性の患者さんというのは二千三百人程度ということで、必ずしも多くはございません。そのほかには、特別養護老人ホームであるとか老人保健施設、こういったところを利用されている方が多いわけでございます。 ◯川井委員 かなり病状が進んで安定してくると、特養の方へ行くんです。しかし、初期の段階で、徘回が頻繁にある、あるいはかなり粗暴な行動に出る、こういうときには特養では対応できないわけです。ですから、もう少し症状が進む、体が弱ってくる、あるいは筋ジストロフィー等の合併症で、余り活発な行動がとれなくなると、特養でもいいんだけれども、私が聞いた部分は、若干違う答弁の中で出てきているんだけれども、まあいいです。私はそういうことは知りながら聞いておりますからね。  それと、今、松沢病院で対応していただいているというお話がありましたけれども、実は、松沢病院の病棟の呼び名が、痴呆性老人精神科専門病棟。先日もこういうケースがありました。家族から、松沢病院に連れていくことが、ちょっと抵抗があるんですよと。ここは正直なところだと思うんですよ。松沢病院に連れていくのは、若干の抵抗があるんです。そこら辺をやっぱり考えてあげなきゃいけないのかな。例えば、今いうように、痴呆性老人専門病棟でいいんだと思う。痴呆性老人精神科専門病棟、例えばこういうような名前のつけ方ということも、私は、そういう病気を持つ家族側の精神衛生面も、やはり一緒に考えてあげるべきじゃないのか、こんな思いが実はしております。  それともう一つ、摂食障害という病気があるんですね。私、若干がっかりしたのは、どなたとはいいませんけれども、ある副知事さんにこの摂食障害の話をしたら、何ですか、それ、こういわれたときには、若干寂しい思いをしましたけれども、摂食障害の方々が仮に入院される場合には、どういうところなんですか。 ◯町参事 どこにということには必ずしもお答えし切れないかもしれませんけれども、現在、都立の梅ケ丘病院というのは、子どもさんの精神障害を専門に扱っている病院でございますけれども、こちらの病院に本年三月末日現在で調べましたところ、六人入院されていらっしゃいます。 ◯川井委員 これも余り聞いていると時間がなくなりますので、こちらで答えますけれども、多くは、やはり鉄格子なんです。そして、この初期の段階というのは、精神的な部分というのが非常にまだ弱い場合があります。早く発見することによって十分対応ができ、それが完治する。ところが、そういう状況の中で、仮に時間的に生活をつくり上げてあげられる、そんなことで一時的に入ったところが鉄格子だ。入ったら、かえって悪くなっちゃう。民間病院が扱うということにおいては採算性が合わない。  こういうものを東京都が、病院が経営の中で率先してやっていってあげるべきではないだろうかという思いがありますので、こんな質問をしているのですけれども、例えば東京都あたりが痴呆老人だとか、あるいは摂食障害だとか、特に拒食、過食、こうあるわけですけれども、そういう方々、あるいは本当に軽度の精神的な病を持った方々、こういう方々に対しては、かなり開放的な、いわゆる鉄格子なんていわないで──鉄格子の病院というのは、階段から、エレベーターをおりて、またかぎで鉄のドアがどおんと閉まるような、暗い、冷たい、そういう施設が多いんですよ。私も何カ所も見に行っているんです。  私の父が十三年間病みまして、とてもこういうところには置いてこれないな、こういう思いで最終的にはお預けしなかったんだけれども、そういうところを、東京都が、例えば松沢なら松沢が、今、計画がありますよね。それに対して請願が二本出ています。両方から出ているわけですね。これに対して、局内に松沢病院病棟建設委員会を設置した、こう書いてありますね。ぜひこういう委員会の中で、そういう摂食障害とか、アルツハイマー、先ほどグループホームについてはまだ立ち行かないというような話がありましたけれども、それこそ野球場もあれば、池もあれば、松沢病院の中は、えらい広大な面積があります。私も入って、中を見てきた。緑があり、池があり、そういうゆとりのあるところで、まさしくグループホームをやるような施設をつくってあげたり、摂食障害や、躁うつの軽度の方々のためのカウンセリングを兼ねた施設的な、もっと極端にいえば、カウンセリングを兼ねた保養施設みたいな考え方でもいいんだな。そういうような思い切った、まさしく行政でなければできない行政医療というか、そういうものをつくり上げた中で、初めて民間がついていく。なおかつ、厚生省も、こういうことが本当のあり方だということの中で、民間がやるときに補助金が出せるような、そんな道を切り開くのが、私はまさしく都立病院の役割として、一つにあっていいんだろうと思っておるのですが、最後に、局長、どうですか。 ◯柳澤衛生局長 ご指摘のアルツハイマーや摂食障害のこと、私ども見に行っておりますが、そういった状況の中で、今の松沢病院も大変古く、長い歴史を持っておりますので、今後ともこういった障害者の人たちには十分な手当てをしなければいけないと思っております。  先ほどいいましたように、財政的に非常に厳しい状況ではありますけれども、こういう待ったなしの仕事であれば、今、検討委員会というのをつくっておりますので、これを拠点にしまして、既にある程度の絵はかいておりますけれども、これを今後具体化していくについては、ちょっと財政的に厳しいのですが、先生のおっしゃる趣旨については、十分今後検討してみたいと思っております。 ◯川井委員 ぜひひとつお願いをします。まさしく首都東京の行政として、二十一世紀にあるべき治療施設というか、医療施設を先駆けてつくり上げていく、そういう立場でもあろうと思う。それが日本全体の都市の医療体制を引き上げていくものだ、そんなふうに考えておりますので、ぜひご努力をいただきたいと思っております。  それと、一つ、ちょっと気になったことを都民から聞かれているんです。全く別の分野なんですけれども、都立病院で看護婦さんがビラ配りしている、こういう話がありました。どういうビラを配っていたのかまで詳しくは聞きませんでしたけれども、例えば本庁舎で時間を決めてストライキをするようなときに、それに関連する都立病院も全部一緒にやるのかということもお聞かせ願いたいと思います。  それから、看護婦さんがビラを配っているというようなことは──東京都の病院というのは、非常に努力してくれている。私も幾つかご紹介して、大変助けられたということで、家族が感激をして、本当に看護婦さん一人一人がよくやってくれるんですよ、こういうお話も聞いております。ですから、まさか勤務時間中にやっているのではないだろうな、こう思います。夜勤明けなり、あるいは日曜日でなくても明けがありますから、そういう休暇という形の中でやっているんだろうと思います。しかしながら、白衣のままで渡しているとなると、せっかく努力している、汗をかいていながら、都民が見れば、何だ、患者をほったらかして、一生懸命やっているのかというような見られ方もしてしまう。だから、あえて私がこんな話をするのは、せっかく皆さんが汗をかいているんだから、そういう形で見られるということは、サボってやっているんだ、あるいは患者をほったらかしにしておいてやっているんだ、こういうような見られ方をもしするならば、非常に残念なことですね。  ですから、目立って効果があるということもあるんだろうけれども、白衣でチラシを渡すということは、かえって控えた方が自分たちのためじゃないか、私はこう思うのですけれども、病院経営を管理する局側としての考え方をお聞かせ願って、私の質問を終わります。 ◯廣田病院事業部長 職員が組合活動ができるのは、特定された、今お話のありましたような休暇等の限定された時間帯に限られております。しかし、今お話がありましたように、私どもはこれまでも職員に対する指導に努めてまいりましたけれども、今後一層、都民の誤解を招かないように、また都立病院に対するイメージの低下を来さないように、引き続き指導に努めていきたいというふうに考えております。 ◯藤沢委員 本日の最後ですから、お疲れでしょうけれども、ひとつよろしくお願い申し上げます。  平成十一年度の一般会計の予算は六兆二千九百八十億円、前年度の六兆六千七百五十億円という予算と比較をいたしまして、マイナス五・六%というような減額する中で編成されているわけですが、これもやっと編成されたというような状況であります。特に、過去の例からいきますと、平成元年度の予算に匹敵するようなレベル、水準まで落ちてしまったわけですが、しかし、その中で、大体六千億を超える財源不足がある。施策の選択ですとか、若干の内部努力、そういうものを入れて二千億円ぐらいは調達された。残りの足りない部分は他会計から、特に中央卸売市場会計、神田市場を売った残金が残っているということで、二千億円持ってきちゃうとか、あるいは、基金ももう底をついてしまうような状況になっているわけでございます。  そうした中で、減債基金を今年度積み立てをしなくちゃならない部分、一千百億以上を流用をしてしまう。一般会計の中に持ち込む。そして、財政健全化を進めるということで、財政健全化債八百億、あるいは退職手当債三百億、こういうような形で、やっとどうにかこうにか一般会計を編成することができたというような状況だろうと思うのです。このまま推移すると、十二年度になると六千二百億、またさらに財源不足が生じてしまう。平成十年度の決算では、見込みとして一千億円の赤字ということですから、十二年度、七千二百億財源不足になってしまうわけです。しかも、基金は底をついてしまっている、他会計からの借り入れはもう難しいという状況で、このままではもう十二年度の予算は組めないんじゃないか、そんな想定すらされている部分もあるわけです。  このような都の財政状況を踏まえながら、病院事業の決算を見てみると、平成九年度の病院事業の決算では、四百四十億円という非常に大きな額の一般会計補助金を受け入れているわけです。この四百四十億円というのは、医業収入が十四病産院合わせて八百九十九億というような総額の中にあっては、四九%を占めるような形になっておりまして、医業収入の約半分ぐらいが補助金で都立病院は運営されている、こういう状況になっているんじゃないかというふうに思っています。  都財政が財政再建団体へ転落の危機にある今、この補助金をできるだけ圧縮していくことは大きな課題じゃないか、これまで以上に踏み込んだ経営努力を行う必要が、今こそあるのではないか、こういうような観点から、平成九年度の病院会計について質問を進めさせていただきたいと思います。  病院事業では、平成九年度で四百四十億円の一般会計補助金を受け入れていますが、これまで受け入れてきた一般会計補助金の推移はどうなっているのか、お尋ねいたします。 ◯廣田病院事業部長 平成六年度には四百六十三億円、平成七年度に四百五十九億円、平成八年度には四百四十五億円となっております。 ◯藤沢委員 毎年四百数十億円もの補助金を受け入れているわけであります。この補助金の受け入れの根拠はどうなっているか、できるだけ具体的に答えてください。 ◯廣田病院事業部長 病院会計に対しまして一般会計が負担すべき経費につきましては、地方公営企業法第十七条の二、第一項の規定で定められておりまして、その規定によりますと、その性質上、経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費及び能率的な運営を行っても、なおその経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費というふうになっております。  これらの経費の具体的な内容は、地方公営企業法施行令第八条の五及び自治省の繰出金についての通知に列挙されております。平成十年四月の通知によりまして、不採算医療として病院事業への繰り出しが認められておりますのは十五項目でありまして、都立病院では、その基準に基づきまして、精神病院の運営経費、リハビリテーション医療に要する経費、周産期医療に要する経費、救急医療に要する経費、高度医療に要する経費等を繰り入れているところでございます。  ちなみに、平成九年度では、総合病院におけるこれらの医療にかかわる経費といたしまして二百九十億円、難病、精神、小児などの専門病院にかかわる経費といたしまして百五十億円を受け入れているところでございます。 ◯藤沢委員 都立病院は、確かにそうした不採算の仕事をやるということについては、当然受けとめているわけでございますけれども、それにしても、補助金の額がちょっと多過ぎるんじゃないか、私はそう思います。補助金を受け入れることが当然という考えで経営を行っているために、このような結果に結果的になっているんじゃないか、そんな気もするわけです。経営の努力が不十分で、都民の貴重な税金が補助金に使われているとしたら、大きな問題であるというふうに私は思います。これまで都立病院としては、この補助金を削減するためにどんな努力をしてきたのか、お伺いいたします。 ◯廣田病院事業部長 都立病院では、従来から経営改善の取り組みを行ってまいりましたが、平成五年には都立病産院運営基本指針におきまして、五カ年の経営改善計画を策定いたしまして、一層の経営改善に取り組んでまいりました。その結果、総合病院の自己収支比率を見ますと、平成五年度に六八・九%だったものが、平成九年度では七三・八%、四・九ポイントの上昇をいたしましたし、また、目標の七一・五%に対比いたしますと、二・三ポイント上回る成果を上げたところでございます。  各都立病院では、こうした目標達成に向けまして、病床利用率の向上、外来運営の充実、高額医療機器の有効活用などによる収益の確保を図りますとともに、業務委託化の推進による経費の節減等にも取り組みまして、補助金の削減に努力をしてきたところでございます。 ◯藤沢委員 経営改善に取り組んで、自己収支比率もかなりアップしたことはわかりましたけれども、それにしても、先ほどの補助金額の推移からすると、余り大きく変わってないような気がいたします。どうですか、その点について。 ◯廣田病院事業部長 五カ年の事業計画期間中におきましても、荏原病院を開設をいたしますとともに、骨髄移植に対応するために府中病院に無菌室を整備したり、また、周産期医療の充実を図るために清瀬小児病院にNICUを新設をいたしますなど、新たな医療課題に積極的に対応して、都民の期待にこたえてきたところでございます。このような病院の開設、新たな医療課題への取り組みは、大変大きな経費を要する不採算事業でありますことから、むしろ補助金の増加の要因となるものでございます。こうした中での補助金の削減であるということを、ぜひご理解をいただきたいと思います。 ◯藤沢委員 実は、私は独自に、ある民間病院と都立病院の経営状況を比較検討してみたわけです。その民間病院は、全く補助金なしで、六百床の病床を持ち、立派に収支が成り立っている、こういうような状況の病院であります。確かに都立病院は不採算部門を抱えている、こういう状況にあるにしても、もっとやっぱりやりようがあるんじゃないかというふうに思いますので、これらの調査に基づいて、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  例えば、調査によれば、その民間病院の入院収入単価は大体約四万円ですが、都立総合病院では約三万五千円、五千円も低くなっています。なぜこんなに開きが生ずるのでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 収入単価は、それぞれの病院で取り組んでおります医療内容によって異なってきますため、一概に比較するということは困難でございます。現在の診療報酬制度を概括的に理解をいたしますと、入院期間が長くなれば診療報酬が安くなるような仕組みになっております。例えば、入院時医学管理料という項目がございますが、これは例えば二週間以内の入院は一日六千百五十円、これが一カ月を超えますと、一日二千三百円ということで、三分の一程度になってしまうわけでございます。総体的にいいますと、長期入院を必要とする病院ほど収入が上がりにくい構造となっているわけでございます。  都立の総合病院では、精神科医療やリハビリテーション医療、難病医療など、入院期間が長期にわたり、また、診療報酬制度上、診療に見合うだけの点数が反映されていない医療にも取り組んでいるところでございまして、その影響で、全体として見ますと収入単価が低くなっているというふうに考えております。 ◯藤沢委員 それでも精神医療をやっている墨東病院なんかは、入院単価が一人四万円いっているんですね。そういう状況もあるのですが、今の答弁で、入院期間の話、確かに診療報酬制度では、短い場合ほど入院料が高くて、長くなるにつれてだんだん低くなるという仕組みになっているようです。このため最近は多くの病院で、入院期間を短くして収入単価をアップさせようという動きが、かなりあるというふうに聞いています。収益向上のために患者を追い出すようなことがあっては本末転倒ですが、質の高い医療で入院期間を短縮し、収益を伸ばすという方法を考えてもいいのではないかと思います。都立病院の入院期間の状況はどうなっていますか、また、今後どのようにしていこうと考えているか、お答えを願います。 ◯廣田病院事業部長 質の高い医療や看護ケアによりまして入院期間を短くすることができれば、患者さんは早く社会復帰することができまして、また、待機している患者さんもそれだけ早く入院することができるわけでございます。都立病院では、これまでも入院期間の適正化に取り組んできておりまして、平成九年度の総合病院の平均在院日数は二十三・一日となっております。また、平成十年度は、一月までのデータでございますけれども、二十一・九日と、さらに短くなっております。  その結果として、病床の効率的な運用を行うことができ、収益の向上にもつながっているわけでございます。今後とも、患者サイドに立った対応に努めながら、地域医療機関との連携を充実し、入院期間の適正化に努めていきたいというように考えております。 ◯藤沢委員 入院期間の短縮に努めていくとのことですが、性急な短縮策を実施すれば、地域での受け入れ体制がないまま患者さんがほうり出されてしまうというおそれもあるわけです。平成十二年度に介護保険制度が開始されることもあり、そんなことにならないよう医療機関だけではなく、保健や医療、福祉の連携の中で対応を考えていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 ご指摘のとおり、保健と医療、福祉の連携は、大変重要な課題であると認識をしております。患者さんの退院、転院は、患者さんの病状、転院先や地域での受け入れ体制等に十分配慮しながら行っているところでございますけれども、今後とも地域医療機関との連携だけではなくて、今お話のありましたように、福祉分野であります特別養護老人ホームでありますとか、あるいは老人保健施設等との連携、協力関係をさらに充実をいたしまして、きめ細かな対応に努力をしていきたいと思っております。 ◯藤沢委員 大塚病院が、入院の収入単価がもう五千円上がると、年間で八億九千万アップするのです。これは墨東病院の一人の入院収入単価とほとんど同じレベルになったときに、そのぐらいになる。それから、駒込病院でやっぱり五千円ぐらいアップして、墨東病院と肩を並べるような形になりますと、年間で入院患者だけで十三億一千八百万円アップするというような状況になります。  経営向上のためには、都立病院の人的、物的な医療資源を最大限に活用していくことが重要ではないかと考えますが、そのためには受け入れ患者をふやすことが必要です。入院の病床利用率は、総合病院で九四・八%とかなり高いようですが、外来患者数の方はどうでしょうか。収益を上げるための方策として、外来患者をもっと積極的に受け入れてふやしていくことも考えられますが、どうでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 都立病院の限られた医療資源を有効に活用いたしまして、できるだけ多くの都民の皆さんに適切に医療を提供していくということは、患者紹介を基本にした医療機関との連携ということが最も重要なことになると考えております。今後も他の医療機関との連携関係を一層緊密にいたしまして、地域医療機関からの患者さんの紹介や、あるいはまた、症状が安定した後の患者さんの返送、逆紹介等を行いまして、都立病院が持っております、専門医や高度医療機器等を駆使して行う高度専門医療を必要とする患者さんを積極的に受け入れていきたいというふうに考えております。 ◯藤沢委員 確かにおっしゃっているように、機能連携も重要な課題であります。しかし、限られた医療資源を有効に活用するという視点も忘れてはならないと思います。ただ、そうだとしても、患者数を増加させる方策がないわけではありません。例えば、休日も診療を行えば、利便性も向上し、都民も安心でき、収益も増加していくというふうに思いますが、どうでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 都立病院では休日も二十四時間の救急体制をとっておりまして、急に生じた傷病によりまして治療が必要となった患者さんに対する診療を行っているところでございます。ご指摘のとおり、休日に救急対応だけではなくて、平日と同じような診療を行うことができれば、患者さんの数は確かに増加をいたします。ただし、一方でマンパワーの確保や経費の増加という問題も生ずるわけでございまして、その兼ね合いが出てまいりますので、大変難しい課題であるというふうに思っております。 ◯藤沢委員 外来患者数をふやすというだけじゃなくて、例えば外来患者単価というものを考えてみると、駒込病院では、一人単価が一万円を超えているんですね。大塚病院ですと八千五百五十五円、二千円ぐらい違いがあって、墨東病院でも七千九百九十一円ということで、二千円ぐらい違う。仮に二千円単価が上がるというような治療がもし行われるとすれば、大塚病院で六億八千万円、年間で収益が出てくる、あるいは墨東病院では七億六千五百万円、これだけ収入がふえる、こういう形になっているんですね。補助金の金額が少なくなってくるという形があるわけです。  ただ、経営は収益だけではなくて費用の面からも見ていかなくてはなりません。病院は極めて労働集約的な事業ですから、費用の中でも特に人件費が重要なポイントです。そのために医業収益に対する人件費の割合がどれぐらいになっているかを見ていく必要があると思います。都立病院の場合は、どのくらいの割合になっておりますでしょうか。 ◯廣田病院事業部長 総合病院では六六%となっております。 ◯藤沢委員 厚生省が発行している平成八年度の病院経営指数を見ると、黒字病院の場合の人件費比率は四七%、赤字病院の場合は五二%となっています。また、調査した民間病院の場合は四〇%、数値を細かくいいますと四〇・九九%でありました。一般的に黒字で病院を経営するためには五〇%が目安であるといわれていますが、これらのデータもそのことを裏づけているんじゃないかと思います。都立病院の場合、五〇%を大幅にオーバーしていますが、なぜそうなっているのか、理由を伺います。 ◯廣田病院事業部長 都立病院は、ご案内のとおり、高度専門、行政的な医療の提供というのを基本的な任務としているわけでございますが、これらの医療につきましては、診療報酬制度上、診療に見合うだけの報酬が設定されていないにもかかわらず、専門のドクターでありますとか、また、充実した看護ケアのための看護婦さん等、たくさんのスタッフを必要としているわけでございます。また、短期入院優先の診療報酬制度のもとでは、長期入院要素の大きい医療課題に取り組んでいることもございまして、収益に対する人件費の割合が相対的に高くなっているということでございます。 ◯藤沢委員 人件費比率が高いことについては、一定の理由があるということについてはわかります。しかし、そのような答弁ばかりでは、補助金を削減することができないと思います。補助金の削減に向けてどのようにしていくべきなのか、もっと真剣に考えていくべきであり、抜本的な対策を講じていく必要があるのではないかというふうに思います。都立病院の経営を今後どうしていこうと考えているのか、お伺いをいたします。 ◯廣田病院事業部長 現行の診療報酬制度の枠組みの中で、これまで果たしてまいりました不採算医療にも取り組みながら経営の向上を目指していくということ、これは大変困難を伴うものではありますけれども、今後とも積極的に努力をしていきたいというふうに思っております。都民に対して適正な医療を提供していくためにも、入院期間の適正化や業務の効率化を推進いたしまして、都立病院の機能を最大限に発揮できるよう、できる限りの経営改善に努めていきたいというふうに思っております。 ◯藤沢委員 衛生局長としてどういうふうにお考えなのか、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。 ◯柳澤衛生局長 都立病院は、民間医療機関では対応が困難な行政的医療や高度専門医療を都民に適切に提供することを基本的な役割としております。しかし、現在の診療報酬制度は、これを適切に評価する形になっていないため、地方公営企業法による負担区分に基づきまして、一般会計補助金を受け入れているところであります。  都立病院は、これまでもさまざまな経営改善を行いながら、都民の命と健康を守るために、適正な医療の提供に努めてまいりました。現在の都財政の危機的な状況も十分に踏まえまして、今後ともより一層の経営改善を進めてまいります。また、あわせて国に対しても、診療報酬の改善を強く働きかけていく所存でございます。 ◯藤沢委員 いろいろ答弁はしていただきましたが、どうも四百数十億円の補助金はやむを得ないとしか聞こえないのです。しかし、私は、この危機的な財政状況の中で、都の事業についても全面的な見直しが必要であるというふうに考えています。その中で民営化できるものについては、積極的に民営化を進めていくべきと考えています。都立病院を考えた場合、公立病院の宿命として、職員の給料一つ独自に決められない、また、予算の制約があり、経営の小回りがきかないなど、効率的な運営を阻むものが多いのではないかというふうに思っています。そうした結果が、収益の低さや人件費比率の高さ、その結果としての多額の補助金にあらわれているのではないかと思います。  今日の都財政は危機的な状況であり、大幅な改善がなされなければ、遠からず財政再建団体への転落も考えられる状況であります。もはや都立病院も公立にこだわっていられるような状況ではないんじゃないかというふうに、私は思っております。もちろん診療報酬上、不採算医療の分野もあるでしょうが、それも相応の補助金を出せば、民間病院でも対応ができる、あるいはまた、かつては専売特許であった高度医療についても、民間病院はみんな手を染めている、こういう状況にあるわけです。  きょうは意見にとどめておきますが、効率的な病院運営により、補助金の大幅な削減を行い、かつ都民の要望にこたえていくために、都立病院は民営化など抜本的な経営方策を検討すべき時期に来ていることを強く申し上げて、質問を終わります。 ◯丸茂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本件に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯丸茂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。  以上で衛生局関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後四時三十五分散会...